【戦術解析】またも露呈したハリルジャパンの弱み…守備がハマらなかった時の解決策は?

2017年12月18日 清水英斗

試合途中で2ボランチに変更したが…。

日本の守備はまったくハマらず。後手に回り続けた。(C)SOCCER DIGEST

 国内組のハリルジャパンは、現状持っているすべてを、中国戦で出し尽くしていた。マンツーマンでつく守備ブロック、奪ったら1トップに蹴るロングボール、サイドから運ぶ攻撃ルート、テスト起用でコンバートしたポジション。そのすべてを韓国に研究され、対策を打たれた。

 韓国は両サイドバックを高い位置へ送り、日本の攻撃ルートである両ウイング、伊東純也と土居聖真を押し下げた。日本は奪ったボールを運ぼうにも、両サイドが押し下げられており、味方への距離が遠い。1トップに蹴っても、そこで時間を作ることはできず、相手の激しいデュエルにつぶされる。マンツーマンはリアクションの守備。日本は相手の思うようにポジションを動かされ、ずるずる下がるしかなかった。
 
 一方、中央では韓国のボランチ2枚、特に16番のチョン・ウヨンが最終ラインに下がり、3バック気味にポゼッションを安定させる。韓国は円を描くように、日本の中盤を取り囲む。デュエルが得意なインサイドハーフの井手口陽介は、誰もマークする相手がおらず、立ち尽くした。
 
 22分、軽率なスライディングタックルで車屋紳太郎が2失点目につながるFKを与え、警告を受けた場面。昌子源や今野泰幸ら、選手たちはピッチ内で話し合っていた。そして失点の後、倉田秋がハリルホジッチとも話し、逆三角形の中盤を、倉田をトップ下とする三角形に変えた。
 
 その直後、内容は改善したかに思えた。両ウイング、伊東と土居が高い位置を取り、ボールの出所である相手の最終ラインにプレスをかける場面を作れたからだ。特に右サイドバックは本来のポジションではない植田直通。縦の連係に不安がある中で、高い位置から守備に行くためには、ダブルボランチがサイドまで広くカバーする安定感が必要だった。
 
 しかし、それも長続きはせず。韓国がGKまでボールを下げると、日本は帰陣してしまう。せっかく追い詰めたのに、もったいない。そこまで行ったら、センターバックへのパスくらいは切ってしまえばいいのに。前に行けるチャンスを、みすみす手放してしまう。

次ページ後手、後手に回るうちに、何をやってもダメな雰囲気が日本を支配した。

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