10年目のCB初挑戦。鮫島彩が「良い経験? それは言い訳」と自らを厳しく叱責

2017年12月16日 塚越 始

新たなポジションで3試合フル出場し、「何が足りないのか、少しずつ整理できてきた」。

今大会を通じてセンターバックに起用された鮫島。本人も徐々にペースが掴めたようだ。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[E-1選手権女子]日本 0-2 北朝鮮/12月15日/フクアリ

 鮫島彩がこの大会、全3試合でCBとしてプレーした。2008年8月7日のカナダ戦でA代表デビューして以来、10年目にして初めての挑戦だという。高倉麻子監督の狙いに応えようと、最後方からのビルドアップやインターセプトなど試合を重ねるごとに好プレーを見せた。それでも勝てば優勝という最終の北朝鮮戦、0-2で敗れたこともあり、試合後は反省の言葉を連ねた。
 
「1対1や相手のFWにボールが入った時に取りきれなかった。センターバックとしては、相手のFWにボールを収めないようにやらなければいけなかっただけに、そこは課題として残りました。自分のフィジカル面を上げなければ通用しないんだと実感しました」
 
 三宅史織とCBのコンビを組んでの3試合・270分間、インターセプトやカバーリングと、随所で見せた「読み」はさすがと言えるものがあった。今回は招集できなかった守備の要であるリヨンの熊谷紗希が加わったとしても、今後、「CB鮫島」は計算の立つ選択肢のひとつとして加わりそうだ。
 
 ただし、良い経験を積めたのでは? という質問には、首を傾げて言った。
「今までになかった強い相手と対戦できて、個人的には経験になり、自分に何が足りないのか、少しずつ整理できてきたと思っています。ただ……経験できたからと言って、結果が出ないのは言い訳。代表に入っている以上、そのなかで結果を残さなければいけない。失点が多かったこと(韓国戦と北朝鮮戦でいずれも2失点)は、私個人の責任です」
 
 国際Aマッチ出場数は、今回の代表メンバーの中で、阪口夢穂の116試合、宇津木瑠美の103試合に次ぐ85試合。2011年のワールドカップ優勝メンバーでもあるだけに、その言葉には重みがある。
 
 試合ごとに連係が確実に向上していったこと、プレッシャーをかけてくる北朝鮮を相手に「立ち上がりから思った以上にはボールをつなげた」など、いくつかの手応えは得られた。小さくないダメージを受けながらも鮫島は、3試合で起きたプラス面とマイナス面を咀嚼して、吸収しようとしていた。「課題が出たことは収穫です」と自らに言い聞かせるようにして少し笑って、前を向いた。
 
取材・文:塚越 始(スポーツライター)
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