【高円宮杯】あと一歩で優勝を逃した青森山田…エース中村駿太が滲ませた気概と仲間への熱き想い

2017年12月11日 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

誰よりも結果にこだわり、ゴールをこじ開けようと奮闘したが…

積極的にゴールを狙った中村駿太。この悔しさは選手権で晴らすしかない。写真・松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

 柏レイソルU-18から青森山田にやってきて早8か月。確固たる決意で高校サッカー界に身を投じたU-18日本代表の中村駿太(3年/モンテディオ山形入団内定)だったが、プレミアリーグEASTのタイトルはあと一歩のところで掴めなかった。
 
 3位で最終節を迎えた青森山田。首位の清水エスパルスユースを1ポイント差で追う同勝点の2位、FC東京U-18との大一番に挑んだ。しかし結果は2-3の力負け。終盤の反撃も実らず、ビハインドを跳ね返すまでには至らなかった。
 
 試合後、中村は開口一番に反省の弁を述べた。

「チームとして負けたけど、それは僕自身のせい。本当に今日は僕自身がチームに貢献できなかったから、負けてしまったので」

 なぜそこまで責任を感じているのか。「ゴールとかアシスト。そういう結果を出せなかった」と語って唇を噛み締め、敗戦の責任を一手に背負った。強い口調でそう言い切ったのには理由がある。青森に来て1年足らずの自分に、大きな期待をかけてくれた仲間たちへの想いがあったからだ。
 
 本来であれば、高校サッカーは3年間における部活動の中で信頼関係を築き上げていく。そのなかで新たな場に身を投じた中村は、レイソルでプレーしたため、3年生の春からの参入。背番号11は空白の2年間を埋める必要性を、誰よりも感じていたのだ。

 プレーで結果を出し、ピッチ外では人一倍コミュニケーションを取る──。その作業を地道に積み重ね、いまでは誰からも信頼されるエースへと成長を遂げた。苦難の道を歩むなかで、チームメイトへ感謝の念は膨らんでいったという。誰よりも仲間のために戦わなければいけない。決意んほどは、プレーにも如実に現われている。

 FC東京戦では、パスを選択すればチャンスが広がったかもしれない場面で、強引に突破を図ってシュートに持ち込んだ。「パスばかりだと相手は楽。自分が強引に突破できれば違う」と考えていた。惜しくもゴールという結果には結びつかなかったが、チームのためにゴールを取りたいという強い想いが、プレーのそこかしこに散りばめられていた。

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 インターハイは3回戦で敗退し、プレミアリーグEASTも僅差で優勝を逃した。その中で迎える最後の選手権。「チームのみんなと最高の想いをしたい」と語る男は、並々ならぬ意気込みで大舞台に挑む。次こそは自分のゴールで、チームを勝利に導くつもりだ。

取材・文●松尾祐希(サッカーダイジェストWEB編集部)
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