乾貴士がスペインでの成長を語る。そしてリーガ88年の歴史で初の日本人対決へ

2017年12月09日 サッカーダイジェストWeb編集部

膨らむ期待と変化する役割。

エイバルで不動の地位を築きつつある乾。複数のポジションで起用されたことについては「いい経験になる」と前向き。(C)Getty Images

 日本を旅立ったのが2011年。それから4シーズンをドイツで過ごし、2015年8月、リーガ・エスパニョーラのエイバルへ、乾貴士はやって来た。街の人口は約2万7000人。その約4分の1が入る収容人数7083人のスタジアムで戦う乾は、今年で入団3年目を迎える。
 
 小さな街のクラブで2シーズン以上を過ごせば、(少し大げさに言うと)もはやみんな知り合いも同然だ。乾も「チームメイトとみんなで鍋パーティーとか食事もするので、リラックスできています。仲のいい選手も多く、コミュニケーションも問題ないです」と語る。

 そんな環境で迎えた今シーズン、左MFのレギュラーの座を確保した乾に対する期待は、当然大きくなった。しかし、リーガ序盤戦でチームは、結果を出せず低迷する。
 
 11節終了時点でわずかに2勝。厳しい序盤を乾は「すごく難しかったですし、なにをやってもあまりうまくいかなかった。守備もそうだし、攻撃も点がとれない状況が続きました。先制点を取られる試合も多く、苦しい試合ばかりでした」と振り返る。
 
 チームの調子が上がらなかった理由を、彼はこう分析する。

「一番は、自分たちの特徴であるプレッシングがうまくハマらず失点していたのと、セットプレーからの失点も多かった。やっぱり簡単に失点してしまうと、きつくなってくる。チーム内でももちろん話していましたが、うまくいかない時はうまくいかない。みんな必死でやっていましたし、監督もフォーメーションなど変えるべきところは変えて、試行錯誤しながらやっていました。それでもうまくいかず、本当に難しい時期が続きましたね」
 
 ジョエル・ロドリゲス(GK)やイバン・ラミス(DF)、フラン・リコ(MF)、ペドロ・レオン(MF)などチームの中核が負傷し、エイバルらしいサッカーができない。乾はレアル・マドリー戦やレアル・ソシエダ戦ではトップ下も務め、定位置の左MFとは別ポジションでのプレーが求められた。

 しかし、「これからも続くサッカー人生で、いまスペインで色々なポジションを勉強できるのは、個人的にいい経験になる」と、前向きにとらえたことが良い結果を生む。11月の日本代表戦を境に、その境遇も変わり始めた。

次ページターニングポイントは代表戦後のベティス戦。

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