「夢に生きるすべての人に捧げたい」――連敗記録を止めたベネベントの守護神が同点弾に歓喜!

2017年12月04日 サッカーダイジェストWeb編集部

ガットゥーゾに「ナイフで刺された方がマシだ」と言わしめた奇跡のゴール。

同点ゴールの直後、ベンチへと駆け出してチームメイトたちにもみくちゃにされるブリニョーリ。26歳の中堅GKはミランとの大一番でヒーローとなった。 (C) Alberto LINGRIA

 サッカー史に残る、まさに奇跡の一撃にスタンドが沸いた。
 
 現地時間12月3日に行なわれたセリエA15節にベネベントは、本拠地チーロ・ヴィゴリートに強敵ミランを迎え入れた。
 
 ジェンナーロ・ガットゥーゾ新監督の初陣というだけあって、ミランの迫力は普段以上の凄みがあった。事実、試合後に新指揮官は、「献身的な戦いをしてスピリットを見せてくれた」と称えている。
 
 開幕14連敗と不名誉な世界記録を更新し続けるベネベントが苦戦を強いられ、38分にジャコモ・ボナベントゥーラに先制点を奪われてしまったのも、ある意味当然の流れだった。
 
 しかし、この日のベネベントは、ミランにしぶとく食らいつく。後半がスタートして間もなくの50分に混戦からゲオルゲ・プスカシュが押し込んで同点弾を叩き込む。
 
 その7分後にベネベントは、攻勢に出たミランのニコラ・カリニッチの勝ち越しゴールを許し、再びリードを献上したが、負のスパイラルから脱しようと意気込んだベネベントは、アウェーチームを守勢に回す。75分には、相手CBのアレッシオ・ロマニョーリが二度目の警告を受けて退場となり、数的優位にも立った。
 
 それでも相手の守備は固く、ベネベントはチャンスを作りながらも、焦りから決めきれない時間帯が続いた。そして気づけば、試合はロスタイムに突入。この瞬間、だれもがミランの勝利と不名誉記録の更新を確信した。
 
 しかし、ベネベントはラストチャンスで奇跡を起こす。
 
 95分、左サイドのボックス脇からのダニーロ・カタルディの絶妙なFKに、ゴール前まで攻め上がった守護神のアルベルト・ブリニョーリが渾身のヘッドで合わせて、ネットを揺らしたのだ。
 
 まさか、まさかの同点劇に選手やスタッフはもちろん、サポーターたちも熱狂。そして、ミランが再びキックオフしたところで試合は終了した。ベネベントは、ついにセリエAで初の勝点を手にしたのだ。
 
 試合後、「ナイフで刺された方がマシ」と嘆くガットゥーゾを尻目に、感情を爆発させたのは、キャリア初ゴールを決めたブリニョーリだ。
 
 ユベントスから期限付き移籍中の26歳のGKは、「信じてなかったわけじゃないけど、普通はできないことだからビックリしているよ」と驚きを隠せない様子で得点シーンを振り返った。
 
「ベンチから誰かが僕に上がるように言った。失うものは何もなかった。僕はGKだから目を閉じてジャンプしたんだ」
 
 その捨て身のジャンプが奇跡を生み出した。セリエAでGKがゴールを決めたのは、2000年4月1日のレッジーナ対ウディネーゼ戦で、レッジーナのマッシモ・タイービが決めて以来の出来事となる。
 
 歴史に名を残したブリニョーリは、ようやく手にした勝点に本音を吐露している。
 
「このゴールは、夢に生きているすべての人に捧げたい。僕たちは敗戦に値しない試合にたくさん負けてきた。あのユベントスでさえ僕らには苦戦していた。みんなの3か月の苦労が、ようやく報われた気がする。サポーターたちと喜びを分かち合うのは素晴らしいことだよ」
 
 ミランから勝点を奪取したベネベントは、ここから挽回を期して、セリエA残留を果たせるだろうか。次節のウディネーゼ戦に注目したい。
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