25年ぶりの決断!北朝鮮代表はなぜ外国人監督を招聘したのか?

2017年12月07日 ピッチコミュニケーションズ

トルシエやヒディンクとも話は進んでいたが…。

監督への待遇は手厚く、平壌の中心部にある高級ホテル「高麗ホテル」の一室に居を構えている。(C)Getty Images

 12月8日から(男子は9日から)日本で開催されるE-1選手権。日本、韓国、中国、朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)が東アジアのトップの座をかけて争うこの大会で、ハリル・ジャパンが初戦で当たる北朝鮮代表には、特筆すべきトピックがある。同国として25年ぶりに外国人監督を招聘したことだ。
 
 昨年5月から代表を率いているのは、元ノルウェー代表のヨルン・アンデルセン監督。現役時代には、ブンデスリーガのフランクフルトで外国人選手として初の得点王にも輝き、2015年末まではオーストリア2部のSVオーストリア・ザルツブルクを指揮していた人物だが、なぜ北朝鮮はアンデルセン監督を選んだのか。アンデルセン監督の指揮を間近で見ている在日本朝鮮蹴球協会理事長で同国サッカー協会副書記長の李康弘氏は語る。
 
「もちろん、候補はほかにもいましたよ。例えばフィリップ・トルシエ監督やフース・ヒディンク監督なども、正式な契約には至りませんでしたが、数年やってみようかとの返答はもらっていました。それでもアンデルセン監督を選んだのは、現役時代にドイツでプレーしていたから。規律を重んじる文化が代表チームにフィットすると考えたのです」
 
 トルシエ監督と言えば、2002年の日韓ワールドカップで日本を史上初めて決勝トーナメントに導いた人物であり、同大会で韓国を率いて4強進出を果たしたのがヒディンク監督だ。そんな指揮官が候補に挙がっていたことには驚かされたが、そのなかで招聘されたのは、アンデルセン監督に対する期待の大きさを示しているとも言えるだろう。
 
 それはアンデルセン監督の待遇からも伝わってくる。通訳と送迎車はもちろん、平壌の中心部にある高級ホテル「高麗ホテル」の一室が用意されており、アンデルセン監督は妻と飼い犬とともに協会のサポートを受けながら生活しているそうだ。年俸は公表されていないが、李康弘理事長によると「常識的な金額」だという。前出のトルシエやヒディンクのように年俸100万ドル(約1億1200万円)以上というような大金は到底用意できないが、双方が納得できる金額で契約したらしい。
 
 では、アンデルセン監督は、北朝鮮でどんなサッカーを展開しているのか。李氏は続ける。

次ページアンデルセン監督は選手のメンタル面にも変化をもたらそうとしている。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事