【川崎】苦しみ抜いた末に辿り着いたシンプルな答。小林悠が示す逆転優勝への覚悟

2017年11月30日 本田健介(サッカーダイジェスト)

浦和戦の前に言い聞かせていたのは…。

試合後にサポーターへメッセージを送る小林。浦和戦ではチームを勝利に導く決勝ゴールを挙げた。写真:徳原隆元

[J1リーグ33節]浦和0-1川崎/11月29日/埼玉
 
 逆転優勝へ勝利が絶対条件だった浦和戦で、川崎を救ったのはエースの小林悠だった。
 
 14分、家長昭博が右サイドを突破すると、「アキくん(家長)の出せるタイミングでニアに飛び込みました」と、クロスに右足で合わせて決勝ゴールを奪った。
 
 小林は、引き分けでも鹿島の優勝が決まる重圧のかかる一戦へ「試合に入る前に『今日は決めること、決めること』とずっと自分に言い聞かせていた」という。
 
 今季はキャプテンに就任し、チームをどう引っ張るべきか悩み苦しんだ時期もあった。11月のルヴァンカップ決勝ではC大阪に0-2で敗れ、「なぜタイトルに手が届かないのか」と絶望に打ちひしがれた。それでも身を切るような痛みが血となり肉となり、今に活きている。
 
「ルヴァンはチームとして固さもありましたし、個人としてもどこか緊張していた。ただ、今日は大一番だと思っていましたが、もう考えることを止めて、俺はゴールを決めればそれだけで良いと割り切りました。今日はハッキリとしていたからこそ迷いはなかったです」
 
 喉から手が出るほど欲しいタイトルを獲得するために辿り着いた答は実にシンプルだった。「正直、他のことはどうでも良いというか、ゴールを決めることがチームの一番力になる。そこに専念したいです」
 
 この日の決勝点で初めて20ゴールの大台に達し、得点ランキングでも2位タイとなった(1位は22ゴールのC大阪の杉本健勇)。ただし、「得点王のタイトルよりもチームのタイトルのほうが何百倍も嬉しい。チームのためにプレーし、その後に個人タイトルが付いてくれば良い」と語る。
 
 今季のリーグ戦は泣いても笑っても残り1戦だ。勝点2差で首位の鹿島を追う川崎は、最終節の大宮戦で勝利するしかない。悲願成就へ後がない戦いは続くが、小林が再びゴールを奪えば逆転優勝への可能性は高まるはずだ。
 
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト)

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