知られざる“秋春制”のメリットを力説!田嶋会長の熱き想いはJリーグに届くか

2017年11月20日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

移行の理想的なタイミングとしては、2022年を提案。

秋春制への移行を強く訴える田嶋会長。「世界基準でなければダメ」と言葉に力をこめた。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 11月20日、日本サッカー協会の田嶋幸三会長がメディア向けにシーズン移行に関するブリーフィングを行なった。
 
 改めて、田嶋会長はシーズン移行の目的を「日本サッカーの発展」のためと語り、現行のスケジュール(2~12月)を見直し、欧州のカレンダー(7または8~翌年5月)と揃える重要性を訴えた。

 移行の理想的なタイミングとしては、2022年を提案。21年までは現状通りのスケジュールを継続し、22年は7月に開幕、翌23年の5月に閉幕するという日程だ。
 
 この時期に設定した理由のひとつに、22年の11~12月に開催予定のカタール・ワールドカップがある。22年のJリーグを現状通りに行なえば、「10月の第1週ぐらいで(リーグを)終えなければならない。そうなると、非常に苦しいスケジュールになってしまうのではないか」との懸念があるためだ。
 
 実際に移行するとなれば、22年の最初の半年間は"空白の時期"になるが、「そこは特別大会を開くなり、(前シーズンの開催期間を)1年半にするなど、JクラブやJリーグのほうが様々なアイデアをお持ちだと思うし、お任せしたい部分ではある」との考えだ。
 
 シーズン移行の是非で議論される重要なテーマが、降雪の多い地域での試合開催の難しさだ。この問題に関しては、雪国のクラブは12月や2月はアウェーゲームを増やし(1月は開催なし)、その分、8月のホームゲームを増やす案を提示する。この時期は札幌や仙台など夕方はだいぶ涼しくなるとの見解で、夏の暑さに苦しむ関東のチームにとっても、より快適な環境のなかで試合ができるはずとの予測を立てる。
 
 現行のカレンダーと比較すれば、冬場のゲームが増えるのは間違いない。ただ、田嶋会長には「降雪地帯の観戦文化も変えたい」との想いがあり、この時期でのリーグ戦がスタンダードになれば、新スタジアム建設などハード面の充実が加速化されるとの見方もある。
 
 冬場での試合開催と同じく、問題視しているのが試合数の多い夏場のゲームだ。夏休みにあたるこの時期は、各クラブにとって書き入れ時だが、暑さの厳しいこの時期の連戦で、はたして質の高いゲームや個々のパフォーマンスを見せられるのか、という疑問もあるという。
 
 8月の試合数を少なくして、比較的、涼しい地方で開催する。そうすることで、試合のクオリティを高めようという狙いだ。
 
 その他にも、シーズン移行の利点として、田嶋会長は「欧州移籍がしやすくなる」「リーグ終盤を迎える4・5月は代表活動がなく、クラブに専念できる」「夏場に海外のビッグクラブとプレシーズンマッチが組める」などを挙げた。
 
「サッカー協会という立場で、代表をどう強化していくか、そしてサッカーのクオリティをどう高めていくかを考えて、提案させてもらっている」
 
 そう熱っぽく語る田嶋会長だが、シーズン移行の実現については「Jリーグの決定を尊重する」というスタンスに変わりはない。
 
 Jリーグ実行委員会にも出席し、積極的にプレゼンしているようだが、俗に言う"秋春制"は日本でも現実化するのか。今年12月までに最終的な結論が出る予定で、Jリーグや村井満チェアマンの決断に注目が集まる。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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