5試合連続ノーゴールの清水はJ1残留への答を見出せるのか?

2017年11月20日 前島芳雄

札幌に圧倒され、あえなく2失点…。

降格圏の16位・甲府との勝点差は3。14位の清水は厳しい状況に追い込まれている。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ32節]清水0-2札幌/11月18日(土)/アイスタ
 
 キックオフ直後から、試合展開は予想に反したものになった。
 
 順位は13位(札幌)と14位(清水)、勝点は3差。残留争いの大詰めで両者とも非常に気持ちが入っていたこともあり、白熱した接戦が期待された大一番。だが、蓋を開けてみると思った以上にパフォーマンスの差が表われ、札幌が2-0で完勝して16年ぶりのJ1残留を自力で勝ち取った。
 
 その要因として大きかったのは、ストロングポイントの生かし方の差だった。札幌の最大の武器は、1トップのジェイのポストプレーとそこに絡むチャナティップのドリブルや兵藤慎剛の精力的な動き出し。清水としても、そこは十分承知のうえで対策を練ってきたが、札幌がそれを上回る試合への入り方を見せた。
 
 清水のボランチ・河井陽介は、立ち上がりの展開について次のように振り返る。
 
「もう少し空中のボールを使ってくると思っていたんですが、足下でつないでくるボールが多くて、良いところまで来てからサイドに振られたり、少し目線を変えられてからクロスボールが入っていたので、そこは少し想定と違ったと思います」
 
 札幌は2ボランチや両ワイドも積極的に押し上げてジェイの足下に縦パスを入れ、それをジェイがしっかりとキープしたうえでチャナティップや兵藤に正確に落とすことで2列目が前を向ける状況を作り、清水の最終ラインを押し下げていく。また札幌はボールを奪われても素早く前からプレッシャーをかけ、清水のほうはラインが下がって前線との距離が開いているため、なかなかパスが前に通らず、札幌がすぐに奪い返す展開が続いた。
 
 したがって序盤は、パス回しを得意とする清水よりも、札幌のほうがポゼッションでも上回り、完全に主導権を握った。そうなると両サイドに大きく開いている右の早坂良太と左の石川直樹がフリーでボールを受けられる場面が多くなり、11分には石川の正確なクロスをジェイが圧倒的に高い打点で叩き込み、早い時間に札幌が先制。
 
 その後も札幌は攻勢を緩めず、39分にはチャナティップのドリブル突破を生かしてジェイが再び決定力の高さを示す。これで前半のうちに札幌が絶大なアドバンテージをつかんだ。

次ページ自力で残留するには1勝1分が必要。

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