【選手権予選】大阪桐蔭が難関突破! 彼らはいかにして「無冠の強豪」から脱却したのか

2017年11月12日 森田将義

転機となったのは夏の近畿大会での優勝だ。

9年ぶり2度目の選手権出場を決めた大阪桐蔭。勝負強さを身に付け、檜舞台での躍進を期す。(C)TAMURA PHOTO

 何度挑んでも重く閉ざされていた選手権のドアを、大阪桐蔭がついにこじ開けた。実に9年ぶりだ。
 
 2005年の創部ながら、日本代表まで駆け上がったDF三浦弦太(G大阪)など、これまで11人のJリーガーを輩出。12年にはインターハイで3位入賞を果たしたこともある関西有数の強豪だが、選手権への出場は08年度の1回のみ。「うちはトーナメントに強くならないといけない」と永野悦次郎監督が苦笑いしていたように、強さとともに大事な所で勝ち切れない脆さが同居するチームでもあった。
 
"今年こそ"との想いが強かった17年度は、クラスでもトップクラスの成績だというMF西矢健人(3年)や、GK藤本諒哉(3年)など賢い選手が多数在籍しており、春先に永野監督は「目指すのはフィジカル要素ではなく、考えて頭脳プレーで戦える集団」と口にしていた。「パス回しでボールを獲られない」とFW今岡陽太(3年)が胸を張るように技術力が高い選手が多い。新チーム結成直後のフェスティバルでは白星を重ねたが、タイトルが近づくと、これまで同様に結果が残せず、成績は3位ばかり。「3位は落ち込むこともなく、"もうちょっとでやれたのに"と錯覚する成績」と永野監督が分析する。タイトルを掴めていないにも関わらず、自分たちの力を過信するような雰囲気があったという。
 
 浮ついたチームが勝ち続けられるほど現実は甘くなく、プリンスリーグ関西の開幕戦では、京都橘に1-5で完敗。屈辱的とも言えるスコアをバネにし、一度はチームが上を向いたが、インターハイ予選は決勝リーグまで進みながらも、再び3位で終え、またしても全国行きの切符は掴めなかった。 
 
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 転機となったのは、6月に挑んだ近畿総体(インターハイの近畿大会に相当)だ。準決勝の東海大仰星戦で逆転勝ちを収め、鬼門だった3位の壁を突破すると、続く決勝の京都橘戦も延長戦の末、1-0で勝利。「挫けず最後まで顔を上げながら、考えて行動してくれた」と指揮官が称える試合内容を見せるとともに、勝つために何よりも大事な「気持ちを込めて、勝つんだという姿勢を見せてくれた」(永野監督)。

 念願のタイトルを手にしてからはチームがひと皮むけ、近畿総体以降のプリンスリーグ関西は、8勝1分けと負けなしを維持。今岡が、「粘り強さや勝ちきる強さを身につけているのかなと思う」と口にしたように、これまでの勝負弱さを感じさせない力強いチームへと変貌を遂げた。

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