【本田密着】危機であり、チャンスであり……本田の初ミラノダービー

2014年05月03日 神尾光臣

ローマ戦の低調パフォーマンスで再び評価は急下落

強行出場で評価を落としてしまったローマ戦。チームとしても、前節までの勢いも好ムードもすべて吹き飛んだ。 (C) Getty Images

 前節のローマ戦で復帰した本田圭佑。しかしそのパフォーマンスは、まったく良いものではなかった。
 
 連動性を駆使してサイドを崩してくる相手の前に、これまで向上を見せていた守備の対応も遅れて2失点目の遠因となる。本分の攻撃でも組み立てに絡めず、またサイドからもパスが通せない。そもそもプレー以前に、コンディションそのものが良くなく、ゴールを決めたジェノア戦の時と比較しても、あまり走れていなかった。
 
 左足首の捻挫によって2週間近くも実戦から離れており、練習に合流して戦術練習をまともにこなしたのは、試合の前日だった。これでは良いプレーなどできないのも当然と言えたが、それでも先発出場した以上、期待に応えられなければたちまち人々が懐疑に陥ってしまうのが、この世界である。
 
 ローマ戦翌日の『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙は「1対1では冴えず、パスを受けける時も臆病で、フィニッシュも散漫だった。日本の日が沈むのはなんと早かったことか」と酷評し、負傷離脱前の着実な改善ぶりもすべてなかったことにされてしまった。本田が必死に守備をこなそうとしていたことについても、『トゥットスポルト』は「出来の悪いボランチのようにプレーしていた。そもそも右は彼のポジションではない」とバッサリ切り捨てている……。
 
 もっとも、新加入選手の評価が定着するまでは、試合毎に「救世主」になったり「戦犯」になったりするものだ。酷評を覆すためには、次の試合でゴールを挙げればいい。しかも迎える試合はミラノダービー。もし、ここで本田が勝負に結びつく活躍を遂げれば、その後しばらくは、サポーターもその功績を忘れないでいてくれるはずである。
 
 と、言うのは簡単だが、残念ながら伝統の一戦で本田に与えられるチャンスは多くなさそうである。スタメンから外れる可能性が高まっているのだ。

次ページ地に堕ちるか、あるいは一発逆転か

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