【番記者通信】出ていくのはバロテッリか、セードルフか、あるいは……|ミラン

2014年05月01日 レナート・マイザーニ

ミランが間もなく“厄介者払い”を断行するのは間違いない。

ローマ戦後もセードルフ監督のバロテッリを擁護する発言は聞かれたが、両者の溝は深まったようである。 (C) Getty Images

 バロテッリかセードルフか――。ミランはこの二択を迫られている。クラレンス・セードルフ監督の就任初戦となったエラス・ベローナ戦で決勝点を決めたのは「スーペル・マリオ」ことマリオ・バロテッリであり、その時は互いに良い関係であることを強調していたが、もうそれも遠い過去の話になってしまった。
 
 人間的に互いが相容れなくなったというわけでなく、衝突はあくまで試合中の"選択"を巡って起こったものだ。そして敵地オリンピコでのローマ戦でバロテッリが交代させられたことが呼び水となり、本来はロッカールームのなかで留めておくべき問題が、生中継で世に暴露されてしまった。バロテッリはセードルフに罵声を浴びせ、さらに試合後も怒りは収まらず、テレビコメンテーターに暴言に近い言葉を吐いた。一方、セードルフはチームの許可なしに勝手にテレビのインタビューに応じて、アドリアーノ・ガッリアーニ副会長の叱責を受けた。問題は、悪化の一途を辿っている……。
 
 もっとも、ここに至るまでにも、クラブの状況が安定していたわけではない。そこに起こった今回の混乱。いよいよミランは、シーズン終了後にセードルフを解任する方向性を固めることになるだろう。ミランは伝統として規律を重要視するクラブであり、バルバラ・ベルルスコーニ副会長も「品格」というものを前面に出してセールスを展開しようと考えていた。その矢先に起こったローマ戦後の"不祥事"は、ミランのイメージを悪化させるものに他ならないだろう。
 
 セードルフがピッチ上で挙げていた成績は決して悪くはないものだ。しかしミランは、それ以上のものを求めている。フロントとの関係は良くなく、主力選手の間からは不満の声が漏れる。このような状況では、ミランがセードルフの希望を聞いて選手の補強や整理を進めることは、さすがに難しいだろう。
 
 現在、後任としてプリマベーラの監督を務めるフィリッポ・インザーギの昇格が噂されているが、一方でクラブは、パルマを率いるロベルト・ドナドーニ監督の招聘についても検討している。いずれにせよ、ダービーを含めたシーズン残り3試合が、セードルフにとってもミランでの最後の3試合となりそうだ。
 
 バロテッリかセードルフか――。少なくとも来シーズン、ふたりがミランで顔を合わせることはないだろう。そして、より現実的な筋書きとしては、バロテッリもセードルフもいなくなるというものだ。バロテッリはイタリアのサッカーに、とりわけセリエAを取り巻く慣習自体に嫌気がさしている。そしてセードルフも、人間性という点でクラブの期待を裏切った。どちらか一方を守り、どちらか一方を切り捨てるのではなく、ミランは一気に厄介者を追い払うことになるかもしれない。
 
【記者】
Renato MAISANI
レナート・マイザーニ
1985年カターニャ生まれ。2006年から地元紙やWEB媒体でキャリアを積み、ミラノに軸足を移して活動の場を拡げる。現在はイタリア国内の著名ポータルサイトの編集員。国外サッカーにも通じ、地元紙でフランス・リーグのレビューを連載中だ。
 
【翻訳】
神尾光臣
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