電撃解任、主力流出、定まらぬ戦術… ビジョンなき群馬のJ2最下位が決まるまで

2017年11月02日 伊藤寿学

センターラインの主力が大量流出。戦力を補えず。

苦境を脱することができず、J2最下位が確定した群馬。来季J3に戦いの場を移すことになるのかは、J3の状況次第となる。(C) J.LEAGUE PHOTOS

 群馬がJ2リーグ39節の名古屋戦で敗れ、今季のJ2最下位が決定した。J3降格はJ3の最終順位によって確定するが、自力でのJ2残留が消えた。

  
 あまりにも不甲斐ない成績だ。39節を終えて5勝4分30敗。総得点28、総失点79はともにリーグワースト、得失点差はマイナス51。無失点試合はわずかに1試合で、現時点での1試合平均失点は2.03点となっている。攻守の歯車がまったくかみ合わないチームは、シーズンを通じて低迷。3試合を残して"終戦"となった。
 
 低迷の要因は、昨季末の服部浩紀前監督の解任だった。昨季、群馬は17位でシーズンフィニッシュ。J2ワーストクラスのチーム予算ながらJ2残留を果たした。だが、戦力維持とコーチ陣の続投を求めた服部前監督と、チーム刷新を求める菅原宏GMの意見が合わず、最終的に服部前監督が契約期間を残しながらも解任された。
 
 指揮官の電撃解任によって、昨季積み上げてきたチームはリセットされた。エース瀬川祐輔(現大宮)をはじめ、CB乾大知(現長崎)、攻撃的MF吉浜遼平(現町田)、ボランチ中村駿(現山形)ら、センターラインを形成していた主力が大量流出。結果的に、そのポジションを補うことができなかった。
 
 菅原GMが新たに指揮官の座を託したのは、磐田、鳥栖で指揮経験があった森下仁志監督だった。
「アグレッシブに仕掛けていくサッカーでJ1昇格へチャレンジしたい」
 威勢のいいコメントで前のめり気味なスタートを切った指揮官だったが、当面の難局を乗り切るための戦術も知恵も持ち合わせてはいなかった。
 
 3−4−3のシステムでパスサッカーを志したチームだが、若手偏重の起用と、山岸祐也、高橋駿太らキープレーヤーの配置転換に失敗。現実に目を向けずパスサッカーという理想だけを追ったチームは、選手配置のミスマッチとシステムの不適合によって、開幕から惨憺たる結果に。プロ選手とは思えないミスも多発した。開幕6連敗を喫すると、ひとつの引き分けを挟んで11節まで勝ちなしの1分け10敗。選手起用、システムともに迷走した。

【J2リーグ順位表】

次ページ正念場の夏場に頼みの助っ人が長期離脱。下位直接対決には痛恨の連敗。

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