岡崎慎司にふたたび正念場! 初陣で見えたレスター新指揮官の“オレ流采配”

2017年10月31日 サッカーダイジェストWeb編集部

鮮明に浮かび上がったピュエルの「青写真」

75分からピッチに立った岡崎に与えられた役割は、前線からの守備だった――。 (C) Getty Images

 日本代表FWの岡崎慎司にとって、新監督の下で新たな船出を切ったレスター・シティの快勝劇は熾烈なポジション争いの始まりとなった。
 
 現地時間10月29日のプレミアリーグ10節でレスターは本拠地でエバートンを2-0で破り、クロード・ピュエル政権の初陣を白星で飾った。
 
 10月25日に就任してから初の公式戦に臨んだピュエルは、試合前に「少しずつわたしの色に染めていきたい」と青写真を明かしていたが、初陣でさっそく自身のカラーを打ち出した。今シーズン4ゴールを挙げている岡崎をベンチに置いたうえで、新布陣の「4-4-1-1」を採用。さらに両サイドには、若手のデマライ・グレイとベン・チルウェルを起用したのだ。
 
 そんな指揮官の大抜擢にふたりの若手は見事に応えてみせる。
 
 グレイは、持ち味のドリブルで相手守備網を切り裂き、18分にジェイミー・ヴァーディーの先制点に絡み、29分には鋭い突破からチームの追加点を決めている。
 
 さらに本職がサイドバックのチルウェルも不慣れな左サイドハーフで攻守に奮闘。83分にマーク・オルブライトンと交代してベンチに退くまで、ほとんどミスのないプレーを披露した。
 
 両選手に対する地元紙『Leicester Mercury』紙の採点はともに高く、グレイにはチーム最高の「9」が、チルウェルにも「8」が付けられた。
 
 積極登用が奏功したフランス人指揮官の起用法について、レスターをこよなく愛する地元紙は、「ピュエルはマーク・オルブライトンとシンジ・オカザキという最高のハードワーカーふたりを外して、多くのひとに驚きを与えた」と記した。
 
 一方で同紙は、「この大胆な若手起用こそがピュエル流だ」と評して、これまでの監督キャリアで、エデン・アザール(リール)、ユーゴ・ロリスやアレクサンドル・ラカゼット(ともにリヨン)ら数多の有望株を見出してきたと称えた。
 
 試合後、ピュエルに「偉大な選手になる素質を持っている」と激賞されたグレイは、自信満々な様子で、新監督への信頼を口にしている。
 
「新しいチームは良い感じだし、深みが出てきた。僕とベンみたいな若手を信頼してくれることもありがたい。僕らみたいな若手にとっては最高の監督だよ」
 
 岡崎に対する評価もまずまずだった。75分からピッチに立った日本代表FWは、停滞していた前線の守備を活性化させ、『Leicester Mercury』紙は「チームの息を吹き返させ、ヴァーディーとの距離が近くなったことで守備を助けた」と書き綴った。
 
 とはいえ、新体制下の初陣で先発落ちをしたのは紛れもない事実だ。今シーズンのプレミアリーグでチーム2位の得点を挙げている岡崎だが、新指揮官にとっては現状、前線の軸ではない。厳しい生存競争を戦うことになりそうだ。
 
 同紙は「ピュエルの支配の下で完璧なスタートを切った」と手放しで初戦のチームパフォマンスを持ち上げた。はたしてレスターは、上昇気流に乗れるのか。今後の岡崎の起用法を含め、注目が集まる。
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