【湘南】驚きの移籍は正解だったのか。秋野央樹を突き動かした指揮官の言葉

2017年10月30日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

湘南スタイルに馴染むことで、必然的にプレーの幅を広げていった。

レンタル1年目からチームの主軸へと成長。湘南のJ2優勝に貢献した。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

[J2リーグ39節]湘南1-1岡山/10月29日(日)/Shonan BMWスタジアム平塚
 
 それは驚きの決断だった。
 
 2016年シーズン、当時柏に所属していた秋野央樹はJ1で23試合・1得点と、自慢のパスセンスを活かして、ボランチで躍動。柏のバンディエラ・大谷秀和を抑えてスタメンを張る試合も少なくなく、キャプテンマークも託されるほど、主力として活躍した。
 
 しかしシーズン終了後、秋野は地位を確立しつつあったチームを離れ、J2に降格した湘南へのレンタル移籍を決めたのだ。
 
「プレーの幅を広げたい」。その一心だった。
 
 強い覚悟を持って新たなチャレンジに踏み出した今季、リーグ35試合・4得点。秋野はJ2優勝を決めたチームにとって、欠かせない戦力となっていた。
 
 とはいえ、まったく別のスタイルのチームですぐにレギュラーの座を掴むのは、簡単ではなかった。秋野は「自分なりにすごく考えて悩んだ」という。
 
「もともと湘南で1年目から馴染むのは難しいと聞いていたし、自分がやりたいプレーもあったけど、曺(貴裁)さんに求められているものもあって……。ただ試合に出るために、まずチームに要求されていることを優先してやった、それにプラスして、自分がやりたいことを上乗せしていければ良いなと」
 
 曺監督の下、湘南スタイルに馴染むことで、必然的に秋野のプレーの幅は広がっていった。柏時代は持ち前のパスセンスを活かしてゲームをコントロールする、いわゆるレジスタの印象だったが、今季は球際でのファイトを厭わず、運動量も増加。迫力を持ってゴール前に飛び出す動きも身に付け、決定機に絡む回数も増えた。見違えるように逞しくなった。
 
 秋野自身も「目に見える部分もそうですけど、特に数字に出ない評価されにくいところが伸びた。それこそ、ここに来て求めていたこと。まだまだ改善するところは多いですけど、少しずつ成長しているのかなと」と手応えを語る。
 
 湘南で一皮剥けた感のある秋野は、曺監督のある言葉が心に響いたという。

次ページ「湘南に来て良かった?」という質問に……。

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