【湘南】18歳で代表デビューも度重なる負傷…。山田直輝に訪れた完全復活の時

2017年10月29日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

「良いことも悪いこともほとんどのことを経験してきた。でも……」

主力が相次いで故障離脱するなか、山田は1年を通して湘南を牽引。岡山戦では44分にジネイのゴールをアシストし、チームをJ2優勝に導いた。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

[J2リーグ39節]湘南1-1岡山/10月29日(日)/BMWス
 
 湘南が39節の岡山戦でJ2優勝を決めた。前半終了間際にジネイのゴールで先制するも、84分に失点を喫してドロー。勝利こそ逃したが、優勝の条件である勝点1を確実に獲得し、14年シーズン以来の栄冠を掴んでみせた。
 
「今日まで積み上げてきたものを思い出すと、感慨深い瞬間でした。今日は引き分けだったので手放しで喜べないのは残念ですけど、とりあえずひと安心です」
 
 試合後、そう振り返ったのは山田直輝だ。この日シャドーのポジションで先発出場し、76分までプレーした山田は、44分には深い切り返しからの見事なクロスで先制ゴールをアシストすると、押し込まれた後半には、自陣エリア内まで戻るなど広範囲に渡って守備に奔走。攻守両面で奮闘し、チームの優勝に貢献した。
 
 これが山田にとってプロ初タイトル。「みんなでシャーレを掲げて、喜び合えるのはやっぱり嬉しかった」と笑みをこぼした。とはいえ、ここまでの道のりは実に多難だった。
 
 かつて18歳で日本代表デビューを飾り、将来の日本を背負って立つことを期待された山田は、浦和では10年に右腓骨を二度骨折し、12年には左膝前十字靭帯を損傷。度重なる故障に悩まされた。それから15年に湘南加入後も小さな怪我を繰り返し、出番は断続的だった。
 
 しかし、二度目のレンタル延長を選んだ今季、39節終了時点でリーグ戦36試合・4得点。プロになってから初めて1年間を通してコンスタントに試合に絡み、ハイパフォーマンスを披露してきた。
 
「僕は良いことも悪いこともほとんどのことを経験してきたと思っていた。でも1年間試合に出させてもらって、J1昇格の瞬間を味わえたのは、また大きな経験。これで、もっと大きく成長していける」
 
 27歳となった今、完全復活の兆しを感じさせる。山田の"リベンジ"はまだ始まったばかりだ。

【湘南 1-1 岡山 PHOTO】前日にJ1昇格を決めた湘南は悪天候の中戦いドローで3年ぶり2度目のJ2優勝!!
 
取材・文:多田哲平(サッカーダイジェストWeb)
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