【現地発】運からもゴールからも見放されたケルン…今こそ“解放者”大迫の真価が問われる!

2017年10月19日 中野吉之伴

それでも指揮官へのクラブの信頼は揺るがない

ギラシー(19番)のPKが取り消された直後に決勝点を奪われたシュツットガルト戦。今シーズンのケルンを象徴するような試合だった。 (C) Getty Images

 ケルンが勝てない。ブンデスリーガ第8節終了時点で、勝点わずか1の最下位に沈んでいる。

 
 今シーズン、苦戦することは予想されていた。クラブとしても、躓くことはありうると考えていたことだろう。だが、ここまで勝てない状況が続くとは想像できていなかったはずだ。
 
 その要因はどこにあるのだろうか?
 
『ビルト』紙は、8節シュツットガルト戦後に「サッカー界に昔からある格言は、またしても本当だった。下位に沈んでいるチームには不運が付きまとう」と書いていたが、確かに今のケルンには、運がない。
 
 この試合でも、88分にFWセル・ギラシーがペナルティーエリア内で倒されたシーンで、一度はPKの判定が下されながら、VAR(ビデオ判定)によって取り消されている。
 
 SDのイェルク・シュマットケは試合後、「ボディーコンタクトはあった。そして主審は決断を下した。明らかなミスジャッジではない。なぜ、ケルンのビデオ判定団は割り込んできたんだ!?」と怒り心頭だったが、無理もない。この直後のアディショナルタイム、アコロの勝ち越しゴールを許して負けたのだから。
 
 しかもこの失点も、体勢を崩しながら放たれた強くもないシュートが、カバーに入ったハンドベルカーの足に当たり、GKホルンの逆を衝くかたちでのゴール……。あまりの救いのなさに、嘆きたくもなるだろう。
 
 だが、運不運だけの問題ではない。
 
 立ち上がり、主導権を握っていたのはケルンの方だった。効果的なパス回しで相手のDF陣を振り回し、良いかたちでチャンスを作れてもいた。
 
 慌てずにゲームを展開していけば良かったのだが、勝てていないチームには余裕がない。どこかで、「もっと、こうした方が良いかもしれない」と、シンプルにプレーすべきところで、ひとつ余計なプレーが入ってしまったりする。
 
 そうすると、通常ならありえない、軽率なミスが生じてしまう。MFエズジャンが、中盤でパスコースがあるのにもかかわらず、不用意にボールをキープしようとして奪われ、そのまま失点に結びついてしまったシーンは、まさにそれだった。
 
 それでも、監督ペーター・シュテーガーへのクラブの信頼は揺るがない。
 
 シュマットケSDは、「ペーターとの4年間を、そう簡単にダメにするわけにはいかない。チームのプレーを見ていれば、選手たちの、ペーターと一緒にやっていきたいという思いが感じられる。(現在の不振は)監督が問題なのではない」と、変わらぬバックアップを約束している。
 
 またシュテーガー監督自身も、「8節終了時の順位表では、位置が悪い。だが、数か月後には修正することができているという可能性は残っている」と、ポジティブに語っていた。
 
 では、チームが浮上するために必要なことは何だろうか?
 
 一番はやはり、ゴールだ。ここまで、リーガではわずか3得点で、うち2得点がDF(フレデリク・ソーレンセンとドミニク・ハインツ)によるものである(残り1点は大迫勇也)。
 
 クラブは、FWアントニー・モデストの中国(天津権建)移籍でなくしたものの大きさも痛感していることだろう。クラブ史上最多となる3500万ユーロ(約45億5000万円)の移籍金を手にした代わりに、貴重な得点源を失ったのだ。

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