【セルジオ越後の天国と地獄】結果が出せなければ、次の人に席を譲るのがプロの世界

2014年04月24日 週刊サッカーダイジェスト編集部

この時期の監督交代はフロントの手落ちとも言える。

Jリーグでの監督経験がない渡邉新監督に、クラブの再建を託すのは「不安が大きい」と、セルジオ氏は語った。 (C) SOCCER DIGEST

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※週刊サッカーダイジェスト5.6号(4月22日発売号)より
 
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 Jリーグは、すでに8節を終えたけど、ここまでを振り返ると、いろいろなことがあったね。最近では、ベガルタが監督交代に踏み切ったり、レイソルのレアンドロ・ドミンゲスが練習をボイコットしたり。ベガルタは開幕から成績が低迷していたから、監督の去就問題が浮上するのは当然。結果を出せなければ、次の人に席を譲るのがプロの世界なんだ。
 
 とはいえ、この時期に監督交代せざるを得ないのは、フロントの手落ちとも言えるよね。ベガルタは、手倉森監督が6年間率いていたチームだ。長期政権の次の監督は、ただでさえ難しい手綱さばきを要求されるのに、目立った実績がなく、Jリーグの知識も薄いアーノルド監督を連れてきた。フロントが、どこに勝算を見出していたのか、僕には疑問だよ。アーノルド監督はベガルタのサッカーを変えようとして守備の仕方に手を加えたけど、目に出たよね。それに、肝煎りで獲得したマグリンチィも、まだ日本のサッカーにフィットしていない。不幸中の幸いというか、監督との契約は単年で、巨額の違約金は発生しないようだ。ベガルタのフロントも、リスク管理だけはきっちりしていたということかな。
 
 新監督に就任した渡邉ヘッドコーチの内部昇格は、どうやら既定路線だったようだね。04年までベガルタで選手として活躍し、その後もクラブに残って指導者としてのキャリアを重ねてきた彼は、誰よりもベガルタのチーム事情をよく知る人物だ。選手たちの信頼も厚いので、彼らの持ち味である一体感を復活させられる指導者かもしれない。でも、アーノルド監督と同じくJリーグでの監督経験はないんだ。この状況で新人監督に再建を託すのは、期待よりも不安が大きいよ。
 
 加えて言えば、シーズン途中からでなく、開幕からやらせても良かったんじゃないかな。コーチを長年務めていただけに選手の特長は分かっているにしても、チームを軌道に乗せるには時間が必要だ。しかもリーグ戦とナビスコカップを並行して戦う時間のない現状では、微修正程度の対処療法しかできない。新人監督がキャリアをスタートさせるタイミングとしては、ちょっと厳しいよ。
 
 まあ、監督交代というカンフル剤で選手たちは奮起し、リーグ戦初勝利は掴めた。これをきっかけに浮上しなければいけないからね。これからが正念場になるだろう。

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