【ベガルタ戦記】渡邉晋の『日晋月歩』|好事魔多し。等々力2連戦で払った高い授業料

2017年10月17日 渡邉 晋

ハマり過ぎている感が逆に試合を難しくした。

スタートから攻守ともに狙い通りに戦えていた。しかし、ハマり過ぎていた感が試合を難しくいたとも言える。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 仙台の渡邉晋監督による現役指揮官コラム「日晋月歩」の第28回。テーマは「統一感」だ。ルヴァンカップ準決勝の第2戦に続いて、等々力陸上競技場で2連敗。なぜ2点をリードしながら、逆転を許してしまったのか。
 
 2トップにした意図は? 川崎にあって、仙台になかったものとは? 高い授業料を払うこととなった一戦を渡邉監督に振り返ってもらった。
 
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[J1リーグ29節]川崎 3-2 仙台/10月14日(土)/等々力
 
 ルヴァンカップ準決勝の川崎戦、特に第2戦では相手の技術力の高さや局面での速さ、立ち位置の巧みさによって全体をプッシュアップできずに苦しんだ。また、相手のプレシャーに慌ててしまうシーンも見受けられたため、今回は布陣を3-4-2-1から3-5-2に変更して臨んだ。
 
 スタートから攻守ともに狙いどおりに戦えていたと思う。攻撃ではアンカーがボールの中継地点として機能した。相手ボランチが食い付いてくれば、その背後のスペースを使えるし、トップ下の(中村)憲剛がケアするのならば、3バックに余裕ができる。
 
 守備でも2トップと中央の3枚を押し上げることで、ウイングバックが迷わずに高い位置からチェックに行け、結果的に前からプレスをハメることができた。
 
 ただ、ハマり過ぎている感が試合を難しくしたのかなとも思う。「前からプレスを掛け続けよう」という感覚のままゲームを進めてしまい、自陣でしっかりブロックを組もうという時間帯で5-4-1を敷いても、どこかしらに隙ができてしまった。
 
 敗因はそれでけではない。後半の45分間はマイボール時に、あまりにもゴールへと向かうプレーがなかった。60分に(石原)直樹がゴールを決めた後、試合終了までの約30分でうちのシュートは茂木駿佑が放った1本のみ。
 
 シュートを打たないということは、ボールを失ってカウンターを食らうリスクが増大するということ。打てばGKにキャッチされても、枠を外れても、ゲームは一旦切れる。そこから前向きに守備をすることが可能だ。
 
 それが気になったため、途中でベンチから「ゴールに向かえ!」「ボールを前に持て!」と指示を出した。しかし、誰も走らないし、誰も仕掛けない。省エネモードになってしまっていたとも言えるだろう。
 
 その理由を紐解くと、やはりルヴァンカップ準決勝の第2戦に行き着く。相手がひとり少ないにもかかわらず、2戦合計でリードを許していたために攻め急いでしまった。その反省を生かそうと思うのは当然だ。だが、あまりにも「ただボールを回していただけ」になってしまった。

次ページ試合翌日、選手だけでミーティングをさせた。

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