「あり得ないデタラメ記事だ!」トッテナムがスペイン全国紙に怒りの猛反論!

2017年10月17日 サッカーダイジェストWeb編集部

すぐさま「そんな意図はなかった」と釈明へ

ベルナベウ決戦に臨むトッテナム。今回の騒動も大一番の盛り上げに一役買ったか。(C)Getty Images

 火曜日に行なわれるチャンピオンズ・リーグの大一番、レアル・マドリーvsトッテナム・ホットスパー。スペイン最大の発行部数を誇るマドリード・ベースの『MARCA』紙が、サンチャゴ・ベルナベウに乗り込んでくる北ロンドンの雄を大々的に紹介した。
 
 だがその記事内の微妙な表現が、大きな波紋を広げてしまう。米スポーツ専門チャンネル『ESPN』が事の一部始終を伝えている。
 
 メインライターのひとりであるエンリケ・オルテガ記者は月曜日の紙面で、スパーズ(トッテナムの愛称)がいまやプレミアリーグを代表するクラブに急躍進を遂げたと持ち上げた上で、そのルーツに言及。「もともとユダヤに起源があるクラブであり、そんな背景もあってライバルクラブには憎まれている」と記したのだ。
 
 続けて、「それでもクラブ創設から135年の歴史において、彼らは独自のスタイルを貫き、数多の偉大なプレーヤーを輩出してきた」と称えたが、やはりその前段のフレーズが強烈すぎた。ともすれば人種差別とも取られかねない表現であり、トッテナムは即座に声明を発表。怒りを露にした。
 
「我々は今回、マルカがなんら根拠のない記事を掲載したことに驚きを隠せない。プロフェッショナルのジャーナリズムにおいて、由々しき事態だ。あり得ないデタラメであり、きわめて遺憾である」
 
 慌てたのが、『MARCA』とオルテガ記者だ。「トッテナムとトッテナム・サポーターを侮蔑する意図はまったくなかった」とし、表現に拙さがあったとウェブサイトで釈明。「チェルシーやウェストハムのファンの中には、過激な人種差別主義グループがある。少数派の彼らに"憎まれている"と伝えたかっただけだ」とも説明した。さすがに申し訳ないと思ったのか、その後にウェブサイトで「トッテナムが輩出した偉大な名手たち」と題した特集記事を掲載している。
 
 ユダヤ人を侮蔑する表現として、「イード」という言葉がある。確かに他クラブのサポーターはスパーズを揶揄する時によくこの言葉を使う。大昔からだ。2013年にFA(イングランド・サッカー協会)は人種差別につながると強い懸念を抱き、「イード」を用いないようにとイングランドの全クラブに通達したが、効果はほとんどない。なぜならトッテナムのサポーターは長きに渡って蔑称として使われてきたその言葉を逆手に取り、みずからもあえて「イード・アーミー(応援団)」と称するなどしているからだ。なかなか現実は入り組んでいて、複雑なのである。
 
 いずれにせよ『MARCA』は軽率だった。あまり深入りしてはいけないデリケートな部分をいじってしまったのだ。
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