「気持ちは今もDF」通算100得点の36歳“FW闘莉王”が今なお古都で輝くワケ

2017年10月15日 サッカーダイジェストWeb編集部

FWとして考えるのは「いかに後ろの選手を楽にさせられるか」。

14日の熊本戦でJリーグ通算100得点を記録した闘莉王。36歳となった今も“FW”として健在だ。(C) J.LEAGUE PHOTOS

[J2リーグ37節]京都 2-1 熊本/10月14日/西京極
 
"これぞ闘莉王!"というゴールだった。
 
 1-1のスコアで迎えた71分、田中マルクス闘莉王は右CKをヘッドで豪快に叩き込んで、Jリーグ通算100得点を達成した。本人は「J1だけで100ゴールだったらカッコいいけどね」と謙遜したが、Jリーグ史上、DF登録の選手としては初となる偉業だ。この試合の前半にはフリーキックから自身のオウンゴールにより先制点を献上しているが、それを自らの得点で取り返してみせた。ゴールの直後にはチームメイトで第6子が生まれたばかりの土屋征夫を祝福するゆりかごダンスを披露するなど、その存在感が遺憾なく発揮された試合となった。
 
 試合後、闘莉王は開口一番に「ナイスオウンゴールだったね!(笑)」とおどけてみせた。京都はここ2試合、無失点が続いていただけに悔しい失点だったに違いない。チーム事情により現在はFWで起用されているが「気持ちは今でもDFだから」と、守備への想いは変わらない。それは彼がいつも口にしている「いかに後ろの選手を楽にさせられるか」という言葉からも窺える。
 
 今年で36歳。運動量の低下は避けられず、若い選手のように前線から連続してプレスをかけることは難しいが、危ないと感じた場面では中盤までポジションを下げて対応する危機察知能力で最終ラインをサポートし、セカンドボールの回収なども周囲と相談しながら改善を図っている。かつてはセンターバックの位置から中盤や前線の選手へ要求していた守備のタスクを、現在は自らが実践しているのだ。
 
 一方で、FWとして攻撃面での活躍が期待されることも理解している。チームを率いる布部陽功監督は闘莉王やケヴィン・オリスといった長身FWを生かすスタイルを採用しており、この日も正確なポストプレーで攻撃の起点となっている。そして得点力。打点の高いヘッド、巧みなポジショニング、どんな状況でも慌てないメンタリティは、いまだトップクラスだ。

次ページ対戦相手の長身DFも「あんな上からヘディングで決められたのは人生で初めて」。

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