川口能活、42歳。「やられるなら、自分らしく」。等身大の姿でゴールを守る日々

2017年10月13日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

痛恨の失点も、“らしい”プレーは健在。

相模原で2年目を迎えた今季、コンディションは上向きつつあり、確かな手応えを掴んでいる。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

「いやもう、悔しくてダメですね。夜も眠れなかったし」
 
 10月1日、J3リーグ25節。アウェー北九州戦に挑んだ相模原は、0-3の完敗を喫す。相模原のゴールマウスに立ったのは川口能活。7月22日の18節・栃木戦以来の出場で、「チームも連敗していたので」と強い決意で試合に臨んだが、悔しい結果に終わってしまった。
 
「なんとか流れを変えたかったけど、そういうプレーもできなかった。終始、北九州の気迫に圧倒されてしまって……」
 
 チームを勝利に導くことはできなかった。ただ、落ち込んでばかりもいられない。
 
「しばらくゲームに出ていなかったし、結果は良くなかったですけど、またここから、なんとかチームを立て直せるようにしたい」
 
 3つのゴールを許しただけに、GKとしては無念極まりなく、唇を噛み締める想いでいっぱいのはずだ。2連敗中のなかでの先発起用で、自身にかかる期待の大きさは十分に理解していた。それだけに、悔しさや申し訳なさで、その胸の内は占められていたのだろう。
 
 試合勘という意味でも、2か月以上、実戦から離れていただけに、難しさはあったはずだ。もっとも、"らしい"プレーがなかったわけではない。
 
 52分の2失点目の場面。最終ラインを突破され、ペナルティエリア内に侵入してきた相手に味方のDFが懸命に追いすがるも、川口と1対1のような形になる。
 
 この時、相模原の背番号1はスッと前に出て相手との間合いを詰めた。同じシチュエーションでも、ゴールラインに立つGKもいるが、前に飛び出すプレースタイルは、実に川口らしかった。
 
 目の前で打たれたシュートは止められなかったが、感触は悪くない。
 
「3失点しましたけど、自分の動き事態は悪くなかったと思います。かなり広い範囲を守れていたし、走れてもいた。シュートストップは少なったかもしれませんが、前に出るっていうところで、自分らしくというか」
 
 キレや試合感を含めた、全体的なパフォーマンスがすべて戻ってきているわけではないが、「自分らしさは、ちょっとずつですけど、取り戻せている感じがする」という。

次ページ「いくつになっても、自分のスタイルを貫きたい」

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事