【U-17W杯】代えの利かない菅原由勢。00ジャパン屈指のマルチロールが持つ潜在能力とは

2017年10月12日 川端暁彦

器用さと職人肌を併せ持つのが菅原由勢の凄さだ。

初戦は左サイドバックとセンターバック、2戦目は右サイドバックとセンターバックを務めた菅原。対人プレーに秀でていなければ、いずれにも対応出来なかったはずだ。(C) Getty Images

[U-17W杯グループリーグ第2戦]日本1‐2フランス/10月11日/グワハティ(インド)
 
 菅原由勢(名古屋U-18)をどこに置くべきか。それが問題だ。
 
 U-17日本代表のDFである菅原は、元をたどると中盤の選手である。豊富な運動量と確かな判断力を武器にしつつ、1対1での仕掛けもできるMF。サイドに置いても中央に置いても"いけている"選手だった。ただ、そうした個性は右サイドバックでも生きる。対人能力の高さもあって、いつしかサイドバックでの起用がスタンダードになっていった。
 
 さらに00ジャパンでは、瀬古歩夢(C大阪U-18)と小林友希(神戸U-18)というセンターバック二枚看板の控え選手としても定着した。U-16アジア選手権では小林の負傷で中央に回り、今回のU-17ワールドカップでは瀬古の負傷欠場を受けてホンジュラスとの初戦でセンターバックとして先発。しっかり無難にプレーし、大勝に貢献した。なお、試合の途中からは左サイドバックに移っているのだが、こちらもまったく問題なくこなせてしまう器用さがある。
 
 そして、迎えた第2戦のフランス戦。相手がウイングをあえて孤立化させてワン・オン・ワンでの局面打開を挑んでくるスタイルだけに、菅原は右サイドに配置された。だが、欧州得点王のセンターFWグイリとの1対1から中央の守備が劣勢になるシーンが多く、その修正のために後半からは中央に配置されて、グイリ番を担当することとなった。このように守備の穴を「ふさぐ」職人のような使われ方もできるのが菅原である。
 
 そして、頭を使ってサッカーのできる選手だ。フランス戦を終えて「得るモノはあった」とした菅原は、改めてフランスのグイリをどう抑えるべきかを問われて淀みなく答えた。
 
「右利きだし、あえて中に入れさせてそこで(カバーの選手と)挟んでも良かったし、位置によっては外に外にと追い込んでも良かった。そこは徹底したかった」
 
 フランスとの対戦を通じて「速い選手の止め方というか、新たに収穫もあった」と言い切った。こうしたサッカーIQの高さと1対1の強さや泥臭さを兼ね備えているのが、菅原の強みだ。

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