【小宮良之の日本サッカー兵法書】悩めるハリルジャパンを欧州の新たな「リバイバルブーム」が救う!?

2017年10月10日 小宮良之

“銃口を増やした”戦いの復活

日本サッカーの長年の課題はいまだ解決されておらず、またそれは一朝一夕で解決できるものではない。 写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 10月6日に行なわれたニュージーランド戦、ハリルジャパンは「決定力の低さ」を露呈。18本ものシュートを乱れ打ちしながら、PKを含めたわずか2得点に終わっている。多くのシュートは大きく枠を外れ、バーを高く越えている。
 
「今日は、積極的にシュートを打つように指示した」
 
 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、試合後にこう明かしたが、その精度は低すぎたと言わざるを得ない。
 
 結果として、改めて「決定力不足」という課題が突きつけられた。
 
 言うまでもないことだが、得点力を高めることは一朝一夕ではいかない。付け焼き刃でのミドルシュートをいくら放っても、それが決まる確率は低いだろう。
 
 シュートの技術というのは天性のものもあって、これが問題視されるようになって久しい。解決策としては、チームとしてシュートの本数(もしくは攻撃回数)を増やしながら、その確率と精度をわずかでも高めていくしかないのだろう。
 
 そこで、欧州で再び主流のひとつとなりつつあるフォーメーション、「4-4-2」を採用するのはどうだろうか?
 
 欧州王者のレアル・マドリーを筆頭に、アトレティコ・マドリー(スペイン)、モナコ(フランス)、RBライプツィヒ(ドイツ)、ベンフィカ(ポルトガル)など、各国の有力クラブがこのシステムで戦っている。
 
 さらにバルセロナまでもが、最近は変則的な4-4-2を使い、好調を維持。代表レベルでも、昨夏にEURO2016を制したポルトガルをはじめ、フランス、イタリアなどがやはり、このフォーメーションを採用している。
 
 欧州では一時、4-4-2は完全に廃れていた。守備の比重を高めるため、必然的に1トップが多くなったからだ。そして、4-2-3-1がトレンドになっていた。
 
 しかし、パワー、スピードで群を抜くストライカーがいない限り、1トップは相当に厳しい。攻撃力の低下は、守備の破綻にも繋がる。そこで多くのチームは2トップを見直し、単純に"銃口を増やした"戦いを復活させつつあるのだ。

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