【藤田俊哉の目】NZ戦で元同僚が放った世界基準の一発! 反省は必要だが予行演習なら収穫だ

2017年10月08日 サッカーダイジェストWeb編集部

今夏までリーズに所属していたクリス・ウッドには練習や試合で驚かされていた。

日本は先制するもニュージーランドのウッドに同点のヘディングシュートを決められる。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 6日のニュージーランド戦は、大迫のPKと倉田の代表初ゴールで、日本が2対1で勝利したね。
 
 この日、日本のなかで輝いたのは、途中出場の選手たちだった。決勝ゴールを奪った倉田の飛び出し、左サイドを何度も切り裂いた乾のドリブル、そして流れを引き戻した小林のゲームメイクなど、定位置を狙う新戦力が、それぞれの特長を発揮して、追いすがるニュージーランドを突き放した。
 
 スタメンに名を連ねた攻撃陣のバリュエーション豊かなプレーも楽しみにしていたが、あまり見ることはできなくて残念だった。後半途中から乾や浅野が入って攻撃にスピード感が生まれてきたのは褒められるべき点だが、18本のシュートを放って2ゴールしか奪えなかったのは物足りない。ゴール前での精度の高さが香川の武器であるだけに決定的なシーンでは確実に決め、ニュージーランドに"格の違い"を見せつけてほしかった。
 
 理想のシナリオは、前半のうちにゴールを奪って早々と勝利を決定付けさせて、もっと早い時間帯から新戦力を試していきたかった。チームの総合力ではもちろん日本のほうがワンランクもツーランクも上だが、ベストメンバーで臨んできたニュージーランドは、FIFAランキング(113位)以上の実力を持っていた。そうしたなか、日本が自分たちの決定力不足以上に頭を悩ませていたのは、クリス・ウッドの存在だった。
 
 ニュージーランド相手に失点は避けたいところであったが、191センチの体格を活かしたあのヘディングの強さは、ワールドクラスだと言わざるを得ない。クリスは、僕が所属するリーズ・ユナイテッドで8月までプレーしていた。昨シーズンのチャンピオンシップ(イングランド2部リーグ)の得点王に輝いた選手だ。今年の夏に約21億円と言われる移籍金でプレミアリーグのバーンリーに移籍したけれど、移籍前の8月にリーズで挨拶を交わし、練習や試合で何度も見ていた。「ニュージーランドに、こんなに素晴らしいストライカーがいるんだ!」と驚いたことを覚えている。
 
 典型的なストライカータイプで、強烈なシュートとゴール前のヘディングに絶対の自信を持っている。決して器用な選手ではなく、粗削りな部分はあるけれど、"一発"を持っているFWであることは間違いない。それがニュージーランドの強みであって、クリス頼みという分かりやすいチームでもあった。
 
 日本はもっとも警戒していたクリスの"一発"でやられてしまったのだから、反省しなければいけないが、逆に言えば、ワールドカップでも体感するであろう、ゴール前の迫力を感じられたのは、今回のテストマッチの収穫だったと言えるんじゃないかな。そういった課題を見つけることも、テストマッチのいいところだから。
 

次ページ絶対的ノルマとしてセットプレーのキッカーは発掘しておきたい。

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