「適当なクロス」で決勝点を演出。武藤とも原口とも違う乾貴士の“強み”

2017年10月07日 高橋泰裕(ワールドサッカーダイジェスト)

「あれだけ良いタイミングで上がってくれたら、こっちはパスを出すだけでいい」

09年に代表初ゴールを奪った演技の良いスタジアムで躍動した乾。ハリルホジッチ監督へのアピールに成功した。写真:山﨑賢人(サッカーダイジェスト写真部)

[キリンチャレンジカップ2017]日本 2-1 ニュージーランド/10月6日/豊田スタジアム
 
 出番は1-1で迎えた70分にやってきた。ベンチから戦況を見届けていた乾貴士は「ピッチを広く使うこと」と「タメを作ること」を意識して、ピッチに入る。そして、頭の中で描いていたプレーをそのまま実行した。
 
 左サイドに張ってサイドチェンジのパスを受けて積極的に縦に仕掛け、突破が無理だと判断すれば冷静にボールをキープし、長友佑都との連係でニュージーランド守備陣を崩しにかかる。「相手が疲れていた」影響もあって、緩急をつけた左サイドの攻撃は相手の脅威となっていた。乾自身も手応えを感じたようだ。
 
「こっち(左サイド)から崩せたのは、佑都くんのサポートが大きかったと思います。あれだけ良いタイミングで上がってくれたら、こっちはパスを出すだけなので」
 
 最大の見せ場は87分。縦への突破から左足でファーサイドの酒井宏樹にクロスを送り、その落としを倉田秋が押し込み、貴重な追加点を演出した。乾はその場面をこう振り返る。
 
「あれは適当です(笑)。健勇(杉本)とか大きい選手がいたので、あのあたりに上げておけば誰かが合わせてくれるだろうと。宏樹(酒井)もよく入ってきてくれたと思います」
 
 先発した武藤嘉紀は質の高いオフ・ザ・ボールの動きで好印象を残したが、乾は緩急をつけた仕掛けとタメで違いを生み出した。直線的なドリブルと得点力が魅力の原口元気とも違う持ち味で、存在を強烈にアピールした。出場時間は20分程度だったが、残したインパクトは大きかった。
 
取材・文:高橋泰裕(ワールドサッカーダイジェスト編集部)

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