金田喜稔がニュージーランド戦を斬る!「本番を想定していない試合はもうまっぴらだ」

2017年10月07日 サッカーダイジェスト編集部

「日本代表の戦い方に少しガッカリした」

ニュージーランドを押し込んで決定機を数多く作りはした。だが、本番を見据えたサッカーを展開するのも手だったのではないか。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[キリンチャレンジカップ2017]日本 2-1 ニュージーランド/10月6日/豊田スタジアム

 終わったゲームに文句を付けたくはないが、まずマッチメイクに疑問符が付く。様々なしがらみがあるのは理解できるが、ニュージーランドと戦って強化につながるのだろうか。それは次のハイチ戦も同様だ。
 
 もちろん、各大陸のロシア・ワールドカップ予選の進行やプレーオフを勘案すれば、仕方ない部分もある。この後に欧州遠征(ブラジル、ベルギーと対戦する)が控えているから、という言い訳もあるかもしれない。
 
 ただ、選手たちは対戦相手を選ぶことはできない。日本協会がマッチメイクし、招集を受けるが、欧州で今季の序盤戦を戦っている香川真司や吉田麻也らを、わざわざ呼ぶべきほどのゲームだったのか。所属チーム内での立場やコンディションも考えるべきだろう。
 
 さて、ニュージーランド戦の4-3-3の中盤の構成は、アジア最終予選のオーストラリア戦のようにアンカーを置く逆三角形ではなく、トップ下を配置した三角形だった。そこに香川を起用したわけだが、ちょっと拍子抜けだった。
 
 と言うよりも、香川個人のパフォーマンスどうこうではなく、日本代表の戦い方自体に少しガッカリしたというのが正直な感想だ。これは前述のマッチメイクにも関わってくる。
 
 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は実にリアリストで、まずは守備を固めた「縦に速いサッカー」を志向してきた。これが本番を想定したものであることは一目瞭然で、日本が世界で勝ち抜くためには絶対的に必要な戦術でもある。

 前線から果敢にプレスを掛ける。そこで奪えればショートカウンターを発動する。もしダメならば、ブロックを組んで誘い込み、狙いどころをハッキリとさせて網で絡め取ってロングカウンターだ。
 
 例えば、ブラジルやドイツと対戦した場合、日本がポゼッションで相手を上回る展開にはならないだろう。だからこそ、アジアでのゲームから世界を意識したプランを実行してきたのではないか。
 
 それがニュージーランド戦では違った。引いた相手を崩す展開となり、一方的に攻めながらもゴールを割れない。PKで先制したが、その後に自陣に相手を引き込んでトドメを刺すわけでもなく、ただただ緩くなって同点弾を許した。
 
 つまり、本番を想定していない。先制点を奪った後の戦い方が、まったく整理されていないのだ。それでは、本大会での勝利など望むべくもない。

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