【番記者通信】無冠確定の「赤い悪魔」に運命の分かれ道|マンチェスター・U

2014年04月18日 マーク・オグデン

捲土重来を期してオーナーは2億ポンドを用意とも。

CLでバイエルンに敗退し、今シーズンの無冠が確定。一時的なつまずきか、低迷期の始まりか。ユナイテッドは岐路に立つ。 (C) Getty Images

 チャンピオンズ・リーグ(CL)の準々決勝でバイエルンに敗退したマンチェスター・ユナイテッドは、今シーズンの無冠が決まった。

 FAカップは3回戦、リーグカップは準決勝で敗れ去り、プレミアリーグは5試合を残して7位。首位リバプールとは勝点20差で、もはや届かない。しかも、4位アーセナルとも勝点10差で、CL出場権の獲得も非常に苦しい状況だ。CL出場を逃せば、それは1995-96シーズン以来の不名誉となる。

 問題は、この低迷がいつまで続くかだ。プレミアリーグが創設された初年度の91-92シーズン以降、アレックス・ファーガソン率いるユナイテッドは、つねに3位以内をキープしてきた。7位という順位は、13位に終わった89-90シーズン以来の悪い成績だ。そのシーズンでも、FAカップで優勝している。

 これは一時的なつまずきなのか、それとも先の見えない低迷期の始まりなのか。ひとつだけ確かなのは、“赤い悪魔”はいま、重大な分岐点に立っているということだ。

 04-05シーズンにヨーロッパの頂点に立ったリバプールでさえ、CLの舞台から姿を消して4年の歳月が流れた。70-80年代に栄華を極め、5度の欧州制覇を誇る名門レッズ(リバプールの愛称)でも──ミランやインテルにも同様のことが言えるが──、低迷期を脱するまでにそれなりの時間を要している。はたして、ユナイテッドにはどれほどの時間が必要なのか。

 捲土重来を期して、オーナーのグレイザー家は2億ポンド(約350億円)の巨額を強化費として用意したと言われている。ポイントは、やはり来シーズンだ。大型補強でチームを立て直し、1年で復活を遂げられるかが、運命の分かれ道だろう。迷走が続けば、主力は雪崩を打って退団し、魅力も競争力も失ったチームにはトッププレーヤーは見向きもしなくなるという「負の連鎖」に陥る。そこからの復活は、それこそ難事業だ。

 早期復活か、泥沼の低迷か。ユナイテッドは重大な岐路に立たされている。

【記者】
Marc OGDEN|Daily Telegraph
マーク・オグデン/デイリー・テレグラフ
英高級紙で最大の発行部数を誇る『デイリー・テレグラフ』のユナイテッド番を務める花形で、アレックス・ファーガソン前監督の勇退をスクープした敏腕だ。他国のサッカー事情に通暁し、緻密かつ冷静な分析に基づいた記事で抜群の信頼を得ている。

【翻訳】
田嶋康輔
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