【番記者通信】ロッソネーロの弱点を解消する救世主、ラミ|ミラン

2014年04月18日 レナート・マイザーニ

ミランで復活した男がミランに大きな希望を与えようとしている

強固な守備力があってこそ、ミランが有する豊富な攻撃のタレントも活きてくる。ラミの存在はミランの未来をも左右するほどに大きい。 (C) Getty Images

 チアゴ・シウバがパリ・サンジェルマンに移籍してからというもの、ミランにとってディフェンスは大きな弱点のひとつだった。しかし1年半が経とうとしている今、ようやくその後継者を探し出すことに成功したようである。アディル・ラミ。この巨漢CBの加入により、悲惨を極めていた守備は、飛躍的に改善されたのだ。

 今年1月、ラミをバレンシアからレンタルで獲得する際、ファンやメディアの見方は懐疑的なものばかりだった。なにせラミはこのとき、チームを批判したことで戦力外扱いとなり、ろくにプレーできていなかったのだから、それも仕方のないことだった。そんな男が、アデム・ターラブト(フルアムから加入)とともに、今冬の補強の成功例となったのである。

 現在28歳のラミだが、すでにサッカー選手としては輝かしいまでの経歴を築いている。特にハイライトとなったのが、リール時代にリーグアンを2連覇したことだ。リュディ・ガルシア監督(現ローマ)の指揮の下、ムサ・ソウ(現フェネルバフチェ)やエデン・アザール(現チェルシー)、そしてジェルビーニョ(現ローマ)とともに主軸となってプレー。特にチームのストロングポイントであった堅守は、ラミなしには成り立たないものだった。2011年1月、シーズン半ばでバレンシアがラミを獲得するも、タイトルが狙えそうな状況でのディフェンスリーダーの離脱に難色を示したガルシア監督の強い希望により、ラミはレンタルという形でシーズン終了までリールに残された。

 期待されてバレンシアに迎えられたラミだったが、ここでは継続してパフォーマンスを発揮することができなかったばかりか、前述のような問題も発生して戦力外となっていた。そんな状況でミランに注目されたのは、まさにラミにとっては渡りに船だった。加入後は再び本来のポテンシャルを発揮し、攻撃でもここまで3ゴールと活躍。選手に対して要求の多いサン・シーロのファンを、ここまで十分に納得させている。

 足元の技術も確かなら、ポジショニングも完璧。マークする相手をチェックに行く技術もタイミングも素晴らしく、なによりフィジカルが強い。チアゴ・シウバと比べれば、若干スピードが欠けるものの、近年のクリスティアン・サパタやフィリップ・メクセス、あるいはアタランタに移籍したマリオ・ジェペスの出来を考えると、ラミの貢献度の高さは計り知れない。

 来シーズンの戦力補強を考えるにあたり、ミランの最優先課題は、ラミとターラブトの完全獲得である。その上でさらに、ラミのパートナーとなりうるスピードのあるCBの獲得に成功したのなら、そのときはセリエAでも最強のDFラインがミランで完成するはずである。


【記者】
Renato MAISANI
レナート・マイザーニ
1985年カターニャ生まれ。2006年から地元紙やWEB媒体でキャリアを積み、ミラノに軸足を移して活動の場を拡げる。現在はイタリア国内の著名ポータルサイトの編集員。国外サッカーにも通じ、地元紙でフランス・リーグのレビューを連載中だ。

【翻訳】
神尾光臣
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事