【現地コラム】ドルトムント新加入でいきなり大活躍中のフィリップが面白い! その生い立ち、可能性は!?

2017年09月28日 中野吉之伴

17歳まではアマチュアチームでプレー

オーバメヤン(下)との連係も十分に機能している。昨シーズン、デンべレがチームにフィットするのも速かったが、フィリップはそれ以上であり、早くも不可欠な存在となりつつある。 (C) Getty Images

 フライブルクからドルトムントに2000万ユーロ(約25億6000万円)で移籍したマキシミリアン・フィリップは、その素質の高さを認められてはいたものの、こんなにも早くチームにフィットし、すぐに素晴らしい活躍を見せると、一体、誰が思っただろうか。


 そもそも、今シーズン開幕前のスタメン候補にフィリップの名前はなかった。
 
 ウスマンヌ・デンベレ、アンドレ・シュールレ、クリスティアン・プリジッチ、そしてマリオ・ゲッツェ……。これらの選手が万全の状態でシーズンがスタートしていたら、フィリップがバックアップメンバーの域を超えることはなかったかもしれない。
 
 ところが、デンベレがバルセロナを新天地に選び、シュールレは負傷で離脱。そしてゲッツェに関しては、ここまで中盤で起用されている。
 
 こうして出場機会を得たフィリップだが、序盤の数試合では、相手の隙を衝いて動き出しても、味方選手とのタイミングが合わず、良いかたちでボールを貰えない場面が少なくなかった。
 
 目に見える結果を出そう、という焦りがなかったわけではないだろう。クラブがアンドリー・ヤルモレンコという、直接ポジションを争うライバルを獲得したことを、意識しないわけがなかった。
 
 そんなフィリップを、ブンデスリーガ第4節ケルン戦でのゴールが重圧から解放した。
 
「解き放たれたよ。チームは僕を、いつもサポートしてくれている。そして自信も出てきた」
 
 この試合でドルトムントでのファーストゴールを含む2得点をマークすると、6節のボルシアMG戦では縦横無尽の動きで味方からのパスを次々と引き出し、2得点1アシストの大活躍を見せた。
 
 味方選手と入れ替わるようにスペースに飛び出すタイミングは秀逸で、チャンスメイクからゴールメイクへと関わっていく。ピエール=エメリク・オーバメヤンやヤルモレンコとの連係も日に日に良くなり、それぞれがスペースを作り、使い・使われる関係性が出来上がってきている。
 
 フィリップは、王道の育成ルートを歩いてきた選手ではない。
 
 17歳までは、ベルリンにあるTeBeベルリンというアマチュアクラブでプレーをしていた。ある時、バイエルンが面白い選手がいるという噂を聞きつけ、フィリップをU-19チームの練習に招待したことがある。だが、うまくいかなかった。当時のことを、彼はこう振り返る。
 
「トライアルの時は軽い肉離れを負っていて、結局、話はダメになってしまったんだ。全てそうなるようになっていたのかな? と、今にして思うんだ」

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