やはり“北朝鮮の圧力”だった…19歳FWが「怯え、震えていた」とペルージャ会長

2017年09月27日 サッカーダイジェストWeb編集部

会長は圧力の事実を否定したが…。

カリアリでブレイクを果たして、カルチョ注目のストライカーとして名乗り上げていたハン。祖国からの圧力がプレーに影響しないといいが…。 (C) Getty Images

 やはり、その背景には強大な圧力があったようだ。現地時間9月26日、イタリア紙『ラ・スタンパ』は、テレビ番組出演をドタキャンしたペルージャに所属する俊英FWハン・グァンソンに、「北朝鮮からの指示があった」と報じた。
 
 北朝鮮代表で現在19歳のハンは、昨シーズンにカリアリでセリエAデビューを果たす。同国人が4大リーグでプレーするのは史上初の快挙だった。そして、今シーズンはレンタル先のペルージャで開幕から4試合で5得点(得点ランキングの3位)と活躍。第6節終了時点で、セリエB首位に立つチームの快進撃を牽引している。
 
 注目度が上がっている期待のホープは、9月24日に現地テレビ局『RAI』のサッカー番組『ドメニカ・スポルティーバ』に、ペルージャのマッシミリアーノ・サントパードレ会長とともに出演するはずだった。
 
 しかし、番組にハンの姿はなく、出演をドタキャンしたことが判明。サントパードレ会長は、「申し訳ない。ミラノには来ているんだが、ホテルの部屋に閉じこもっている」と謝罪した。
 
 ハンが北朝鮮代表ということもあって、司会者のリッカルド・クッキ氏は番組内で、「彼が来なかったのは北朝鮮の選手だからということはないのか。北朝鮮出身ということが何かあるとか…」と問い詰めたが、同会長はこれを「あちらからの圧力はまったくない」と否定していた。
 
 結局、最後までハンは姿を見せずに番組は終了。出演拒否の真実は闇に消えたかに思われたが、再び掘り起こしたのがラ・スタンパ紙だった。
 
 真実を探るべく、サントパードレ会長に再度直撃した同紙は、ミラノで出演に備えていたハンに平壌から電話があり、「テレビには出るな」という指示があったというコメントを引き出したのだ。
 
 番組では政治や母国の情勢を問う予定ではないと北朝鮮側に説明しようとしていたというサントパードレ会長は、「あちらとの出演交渉は不可能だった。平壌の担当者はハンとだけしか話を望まなかったからね」と漏らしている。
 
「ハンの家族はまだ祖国にいる。もし、テレビに出演していたら強制的に帰国させられる危険性もあっただろうし、彼の家族もどうなるかは分からない。北朝鮮政府との関係は緊張化している」
 
 電話を受けた当時のハンの様子について、サントパードレ会長は「怯え、震えていた」と明かし、「とても出演させられなかった」と理由を説明した。
 
 強大な圧力を受けていることがリークされたハン。それがピッチ上のプレーに影響をもたらさないことを祈りたいが……。
 
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