【ベガルタ戦記】渡邉晋の『日晋月歩』|頼もしいGKとの“あるエピソード”

2017年09月25日 渡邉 晋

アクシデント発生にも心配など微塵もなかった。

C大阪戦はスコア的には4-1と大勝。だが、全体的にうちはイージーなミスが多かった。写真:田中研治

 仙台の渡邉晋監督による現役指揮官コラム「日晋月歩」の第26回。テーマは「総力戦」だ。C大阪戦の前日のミニゲームで、正守護神のシュミット・ダニエルがまさかのアクシデントに見舞われた。
 
 当日、スクランブル発進のような状態で関憲太郎をピッチに送り出した。それでも渡邉監督はまったく心配していなかったという。それはなぜなのか。試合の振り返りも含めて、関との間にあった"とあるエピソード"を語ってもらった。
 
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[J1リーグ27節]C大阪 1-4 仙台/9月23日(土)/金鳥スタ
 
 前回対戦では2-4で負けたC大阪に4-1で勝利。大きな勝点3を得られた。ピッチの深さと幅を上手く使えた1点目は狙い通りだったし、3点目と4点目も持っていた攻撃(カウンターアタック)のイメージを見事に具現化してくれたものだった。
 
 ただ、全体的にうちはイージーなミスが多かった。自分で自分の首を絞めるような展開が続いてしまい、紙一重のゲームだったとも言える。特に得点後、すぐにピンチに陥っていたのは大きな反省点だ。
 
 1点目のあとには山村和也選手の決定機があり、2点目を奪った4分後には水沼宏太選手にネットを揺らされ、3点目の直後にもシュートまで持って行かれている。戦術的に不具合があったのか、メンタル面の問題か。いずれにせよ修正を施さなければいけない。
 
 そんななか、ビッグセーブでピンチを救ってくれたのが憲太郎だ。前日のミニゲームでアクシデントがあり、ダニエルが出場できなかった。憲太郎にとっては急遽、そしてリーグ戦では6節の浦和戦以来の先発だった。
 
 ただ、実は心配など微塵もしていなかった。ダニエルがスタメンを張り続けていた時期もトレーニングマッチでは安定したパフォーマンスを披露しており、彼の能力も十分に理解している。
 
 だからこそ、試合前にも特別に声を掛けなかった。そんな憲太郎の佇まいからは「平気ですよ」という雰囲気が漂っていて、本当に心強かったのを覚えている。そう思わせてくれる選手ほど、頼もしい存在はいない。

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