アトレティコのスカウトが、トリノのチェルチを視察。
前線の刷新があり得るユベントス。ドログバも選択肢に入っているようだ。 (C) Getty Images
【ユベントス】前線の新戦力はインモービレかガッビアディーニか、それともドログバ?
4月12日のサッスオーロ対カリアリ戦のVIPボックスには、ユベントスの役員ファビオ・パラティチの姿があった。ユーベはサッスオーロのFWシモーネ・ザザとドメニコ・ベラルディの共同保有権を持っており、そのプレーをチェックする必要があったからだ。
ユーベはこの2人を含めて、来シーズンの攻撃陣の構成について考えを巡らせている最中だ。残留が確実なのはフェルナンド・ジョレンテとカルロス・テベスのみ。パブロ・オスバルドはいまも「テスト」が継続中、ミルコ・ヴチニッチとファビオ・クアリアレッラは放出リストに名を連ねており、セバスティアン・ジョビンコも去就は明らかではない。
彼らの穴を埋める新戦力としては、チーロ・インモービレ(トリノ)やマノーロ・ガッビアディーニ(サンプドリア)といった、すでにユーベでプレーするに相応しい実績と経験を積んだ共同保有の若手を買い取るか、それとも彼らをメルカート(移籍マーケット)に出してその売却益をディディエ・ドログバのような計算できるベテランに投下するか。
また、アントニオ・コンテ監督が来シーズンもこのまま3-5-2で戦い続けるのか、それとも4-3-3を導入するのかによって、獲得すべき戦力のタイプも変わってくる。いずれにしても、まださまざまな可能性がオープンなままになっている状況だ。
【A・マドリー】トリノのチェルチをスカウトが視察
4月13日のトリノ対ジェノア戦の観客席には、アトレティコ・マドリーのスカウトの姿があった。サイドを起点にしてスピードに乗ったドリブルでゴールを目指し、アシスト、シュートで違いを作り出すアレッシオ・チェルチは、アトレティコのスタイルにぴったり合ったウインガー。そのスカウトの前でチェルチは1ゴール・1アシストの大活躍を見せた。試合後本人は、
「スカウトの話は知っていた。これ以上のプレーを見せることは難しいよ」
と語っている。
【ミラン】ベルトラッチ獲得に動くか
4月7日のジェノア対ミラン戦で、ミランのアドリアーノ・ガッリアーニ副会長とジェノアのエンリコ・プレツィオージ会長は何を話していたのだろうか。
2人は友人同士であり、しばしば連絡をとってメルカートについて話し合っている。ミランがGKマッティア・ペリンに興味を持っていることは確かだ。加えてガッリアーニは、アンドレア・ベルトラッチに惚れ込んでいる。昨シーズン、TVで彼のプレーを見て一目ぼれし、前半が終わったところでプレツィオージに電話をして値段を訊いたほどだ。代理人のルッチとも頻繁に連絡を取り合っている。正式なオファーを出して動き出したとしてもおかしくはない。
だがひとつ問題がある。ローマの存在だ。いまもジェノアとの共同保有権をキープしており、4月9日にトリゴリアでルッチと会った時に、遠からず決断を下すと伝えている。ルディ・ガルシア監督はベルトラッチのプレーをチェックし続けていて、来シーズンはローマに呼び戻して陣容に加えようと考えている。チャンピオンズ・リーグを戦うための戦力増強は必須であり、自国育成選手としてBリスト登録できるベルトラッチは打ってつけなのだ。彼を狙っているのはミランだけではない。インテルもフィオレンティーナも密かに獲得に向けた作戦を練っている。しかし最も有利なポジションにいるのは間違いなくローマだ。
【ギリシャ代表】マルコ・タルデッリが次期監督候補
ギリシャ代表は、ブラジル・ワールドカップ後にチームを指揮する新監督を物色中だ。最有力候補と見られているのが、ジョバンニ・トラパットーニの右腕としてアイルランド代表助監督を務めていたマルコ・タルデッリ。82年スペインW杯の優勝メンバーは、4月11日、12日とアテネに滞在してギリシャ・サッカー連盟と交渉を持った。両者の間にはすでに合意が成立しており、その内容は2年契約でEURO2016予選を勝ち抜くことができればボーナスも得られるというもの。最大のライバルはミーノ・ライオラが代理人を務める元フルアム監督マルティン・ヨルだが、こちらはまだ条件面で合意しておらず、要求する年俸もタルデッリよりずっと高いのがネック。タルデッリ政権樹立の可能性は十分だ。
【翻訳:片野道郎】
【翻訳者からのごあいさつ】
イタリアのスポーツ専門局『SkySport』を舞台に活躍するジャンルカ・ディ・マルツィオは、移籍専門記者という新たなジャンルを独力で切り開いた草分けにして、他をまったく寄せ付けないトップランナーです。
イタリア国内ではすでに数年前から超メジャーな存在でしたが、2013年1月にジョゼップ・グアルディオラ監督のバイエルン入りという大スクープをものにして、一躍ヨーロッパ中でその名を知られるようになりました。その後も、ウィリアン(当時シャフタール・ドネツク)がトッテナムからチェルシーに寝返った顛末など、イタリアにいながらワールドワイドな移籍情報をいくつもスクープしています。
セリエAから下部リーグまで各クラブの会長やスポーツディレクターはもちろん、代理人からスカウトまで膨大な関係者と緊密なネットワークを持ち(iPhoneのアドレス帳には3000人以上のコンタクトが入っています)、他の記者には絶対入手できないディープな情報をキャッチ。素晴らしいのは、しっかり裏が取れるまでは決して情報を出さないところです。
ご存じの通り、世界中を飛び交っている移籍関連ニュースの大半は、誰かの願望や思惑に基づくただの噂でありそれ以上ではありませんが、ディ・マルツィオが発信するニュースは、すべて彼自身のプライドがかかったガチネタであり、ハズレはほぼ皆無と言っても過言ではありません。移籍ネタに関しては、どんなにありそうな話でもディ・マルツィオが書くまでは嘘か本当かわからない、どんなにあり得ない話でもディ・マルツィオが書いたら本当、というのが、もはやこの業界の常識になっているくらいです。
ツイッターのフォロワーは全世界で約30万人。日本では13年7月から『ワールドサッカーダイジェスト』誌に連載コラムを寄稿しています。先月、この連載を休載した時には、日本のフォロワーからいくつも問い合わせのリプライが飛んで来たほどの人気です。
そんなディ・マルツィオのオフィシャルサイト『gianlucadimarzio.com』から、移籍関連を中心とする最新ニュースを毎日厳選してお伝えするのがこのコーナー。サプライズはあっても「ガセ」はありませんから、安心してお読みください。(片野道郎)
4月12日のサッスオーロ対カリアリ戦のVIPボックスには、ユベントスの役員ファビオ・パラティチの姿があった。ユーベはサッスオーロのFWシモーネ・ザザとドメニコ・ベラルディの共同保有権を持っており、そのプレーをチェックする必要があったからだ。
ユーベはこの2人を含めて、来シーズンの攻撃陣の構成について考えを巡らせている最中だ。残留が確実なのはフェルナンド・ジョレンテとカルロス・テベスのみ。パブロ・オスバルドはいまも「テスト」が継続中、ミルコ・ヴチニッチとファビオ・クアリアレッラは放出リストに名を連ねており、セバスティアン・ジョビンコも去就は明らかではない。
彼らの穴を埋める新戦力としては、チーロ・インモービレ(トリノ)やマノーロ・ガッビアディーニ(サンプドリア)といった、すでにユーベでプレーするに相応しい実績と経験を積んだ共同保有の若手を買い取るか、それとも彼らをメルカート(移籍マーケット)に出してその売却益をディディエ・ドログバのような計算できるベテランに投下するか。
また、アントニオ・コンテ監督が来シーズンもこのまま3-5-2で戦い続けるのか、それとも4-3-3を導入するのかによって、獲得すべき戦力のタイプも変わってくる。いずれにしても、まださまざまな可能性がオープンなままになっている状況だ。
【A・マドリー】トリノのチェルチをスカウトが視察
4月13日のトリノ対ジェノア戦の観客席には、アトレティコ・マドリーのスカウトの姿があった。サイドを起点にしてスピードに乗ったドリブルでゴールを目指し、アシスト、シュートで違いを作り出すアレッシオ・チェルチは、アトレティコのスタイルにぴったり合ったウインガー。そのスカウトの前でチェルチは1ゴール・1アシストの大活躍を見せた。試合後本人は、
「スカウトの話は知っていた。これ以上のプレーを見せることは難しいよ」
と語っている。
【ミラン】ベルトラッチ獲得に動くか
4月7日のジェノア対ミラン戦で、ミランのアドリアーノ・ガッリアーニ副会長とジェノアのエンリコ・プレツィオージ会長は何を話していたのだろうか。
2人は友人同士であり、しばしば連絡をとってメルカートについて話し合っている。ミランがGKマッティア・ペリンに興味を持っていることは確かだ。加えてガッリアーニは、アンドレア・ベルトラッチに惚れ込んでいる。昨シーズン、TVで彼のプレーを見て一目ぼれし、前半が終わったところでプレツィオージに電話をして値段を訊いたほどだ。代理人のルッチとも頻繁に連絡を取り合っている。正式なオファーを出して動き出したとしてもおかしくはない。
だがひとつ問題がある。ローマの存在だ。いまもジェノアとの共同保有権をキープしており、4月9日にトリゴリアでルッチと会った時に、遠からず決断を下すと伝えている。ルディ・ガルシア監督はベルトラッチのプレーをチェックし続けていて、来シーズンはローマに呼び戻して陣容に加えようと考えている。チャンピオンズ・リーグを戦うための戦力増強は必須であり、自国育成選手としてBリスト登録できるベルトラッチは打ってつけなのだ。彼を狙っているのはミランだけではない。インテルもフィオレンティーナも密かに獲得に向けた作戦を練っている。しかし最も有利なポジションにいるのは間違いなくローマだ。
【ギリシャ代表】マルコ・タルデッリが次期監督候補
ギリシャ代表は、ブラジル・ワールドカップ後にチームを指揮する新監督を物色中だ。最有力候補と見られているのが、ジョバンニ・トラパットーニの右腕としてアイルランド代表助監督を務めていたマルコ・タルデッリ。82年スペインW杯の優勝メンバーは、4月11日、12日とアテネに滞在してギリシャ・サッカー連盟と交渉を持った。両者の間にはすでに合意が成立しており、その内容は2年契約でEURO2016予選を勝ち抜くことができればボーナスも得られるというもの。最大のライバルはミーノ・ライオラが代理人を務める元フルアム監督マルティン・ヨルだが、こちらはまだ条件面で合意しておらず、要求する年俸もタルデッリよりずっと高いのがネック。タルデッリ政権樹立の可能性は十分だ。
【翻訳:片野道郎】
【翻訳者からのごあいさつ】
イタリアのスポーツ専門局『SkySport』を舞台に活躍するジャンルカ・ディ・マルツィオは、移籍専門記者という新たなジャンルを独力で切り開いた草分けにして、他をまったく寄せ付けないトップランナーです。
イタリア国内ではすでに数年前から超メジャーな存在でしたが、2013年1月にジョゼップ・グアルディオラ監督のバイエルン入りという大スクープをものにして、一躍ヨーロッパ中でその名を知られるようになりました。その後も、ウィリアン(当時シャフタール・ドネツク)がトッテナムからチェルシーに寝返った顛末など、イタリアにいながらワールドワイドな移籍情報をいくつもスクープしています。
セリエAから下部リーグまで各クラブの会長やスポーツディレクターはもちろん、代理人からスカウトまで膨大な関係者と緊密なネットワークを持ち(iPhoneのアドレス帳には3000人以上のコンタクトが入っています)、他の記者には絶対入手できないディープな情報をキャッチ。素晴らしいのは、しっかり裏が取れるまでは決して情報を出さないところです。
ご存じの通り、世界中を飛び交っている移籍関連ニュースの大半は、誰かの願望や思惑に基づくただの噂でありそれ以上ではありませんが、ディ・マルツィオが発信するニュースは、すべて彼自身のプライドがかかったガチネタであり、ハズレはほぼ皆無と言っても過言ではありません。移籍ネタに関しては、どんなにありそうな話でもディ・マルツィオが書くまでは嘘か本当かわからない、どんなにあり得ない話でもディ・マルツィオが書いたら本当、というのが、もはやこの業界の常識になっているくらいです。
ツイッターのフォロワーは全世界で約30万人。日本では13年7月から『ワールドサッカーダイジェスト』誌に連載コラムを寄稿しています。先月、この連載を休載した時には、日本のフォロワーからいくつも問い合わせのリプライが飛んで来たほどの人気です。
そんなディ・マルツィオのオフィシャルサイト『gianlucadimarzio.com』から、移籍関連を中心とする最新ニュースを毎日厳選してお伝えするのがこのコーナー。サプライズはあっても「ガセ」はありませんから、安心してお読みください。(片野道郎)