パリSGのご意見番が明かした「カバーニvsネイマール」の複雑な舞台裏

2017年09月20日 サッカーダイジェストWeb編集部

「カバーニがアンタッチャブルには見えなかったということだ」。

エムバペ(右)、カバーニ(中央)、そしてネイマール(左)。新生パリSGが誇る“MCNトリオ”に早くも亀裂が……。(C)Getty Images

 いまだ収束の気配を見せていないのが、パリ・サンジェルマンが誇る2大エースの諍いだ。
 
 フランスのリーグ・アン第6節、パリSG対リヨン戦はホームチームの2-0勝利に終わった。その79分、PKのキッカーを巡って口論を繰り広げたのが、エディンソン・カバーニとネイマールだ。それまでもFKキッカーの座を奪い合うなど小競り合いを見せていた両者は、試合後のロッカールームでも一触即発。カバーニが行為をたしなめたところ、ネイマールが猛然と反論し、あわや取っ組み合いの大喧嘩になる寸前で、チアゴ・シウバやマルキーニョスが止めに入ったという。
 
 その後もフランスの国内メディアは、両者の場外バトルを頻繁にアップデート。カバーニがキッカーにこだわるのはチーム得点王に付与される特別ボーナスのためだ、ネイマールがカバーニのインスタグラムへのフォローを取りやめた、ネイマールをボスとするブラジル人グループと他の主力選手との間で派閥争いが始まった、などなど。開幕6連勝で悠々と首位を走るチームの不穏なムードを助長している。
 
 この問題を一大事にしてしまったのは、指揮官ウナイ・エメリの曖昧な対応だ。そう断じるのは、アラン・ロシュ氏だ。現役時代に屈強なCBとして鳴らした元フランス代表にして、パリSGの元キャプテン。現在はフランスの大手テレビ局『Canal+』で解説者を務め、とりわけパリSGのご意見番として人気を博している。
 
 49歳の元アイコンは、今回の騒動をこう解説する。
 
「まず、プレシーズンからエメリが確固たるスタンスを示してこなかったのが拙い。そもそも試合に向けてPKキッカーをちゃんと決めていなかったうえ、問題が起こったあとも『お互いの話し合いで決めてほしい』と丸投げした。そのおかげで傷口はより大きく広がってしまったんだ」
 
 ロシュ氏は、カバーニの心情は察するにあまりあると話す。
 
「カバーニはずっとズラタン(イブラヒモノビッチ)の陰に隠れていた。2番手のストライカーとして我慢の日々を過ごしていたんだ。そしてついにズラタンが去り、昨シーズンは公式戦50試合で49ゴールを叩き出した。当然、PKキッカーも務めて仲間の信頼も厚い。ネイマールが来たからといって、また2番手に降格するなんて耐えられないはずだ」
 
 そこで、エメリ監督の対応だ。ビッグスターとして迎えられたネイマールが、なんら決まり事もなくチームに組み込まれれば、そこにはエゴが生まれる。PKキッカーを巡る争いは起こるべくして起こったと言い切る。

「ネイマールは17歳の頃からPKを蹴っていたんだ。バルセロナに移籍してからは、チームにリオネル・メッシという王様がいたわけで、彼がボールを差し出さない限りは手を出さなかった。メッシはアンタッチャブルだからね。だが彼の目には、カバーニがアンタッチャブルには見えなかったということだ」
 

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