【番記者通信】クアドラードを巡って錯綜する思惑|ユベントス

2014年04月11日 ロメオ・アグレスティ

コンテ監督を満足させるため、2500万ユーロを用意した。

右サイドでの豪快な仕掛けが持ち味のクアドラード。サイドが補強ポイントのユーベは、35億円相当の移籍金を用意して獲得を目論む。 (C) Alberto LINGRIA

「ビッグなことをしたいが、そのためにはどうするべきなのか?」
 25歳になったサッカー選手が、そう自問自答するのは当然だろう。ファン・ギジェルモ・クアドラードも、きっとそう自分に問いかけているはずだ。フィレンツェでの現状に満足しつつも、将来の見通しは不明瞭だ。

 フィオレンティーナとウディネーゼが共同保有するコロンビア代表の25歳、クアドラードは、ユベントスが獲得を目論み、ぴったりとマークしている。ただ、アーセナルやバイエルンといった国外のビッグクラブからも触手が伸びる。

 サイドが重要な補強ポイントのユーベは、クアドラードにご執心だ。アントニオ・コンテ監督を満足させるため、2500万ユーロ(約35億円)の移籍金を用意した。交渉の窓口が複数となる共同保有選手という難しさはあるが、状況はそれほど悲観的ではない。現行契約の更新について話し合いを進めるフィオレンティーナとウディネーゼが、妥結点を見出せていないからだ。

 フィオレンティーナのダニエレ・プラデSDは、クアドラードの保有権を100パーセント買い取りたい意向を持っている。ただ、本人を納得させるために多額の年俸を保証するような事態は避けたいはずだ。オファーが殺到しているクラドラードは、完全に売り手市場で、市場評価額と本人の年俸希望額が高騰している。

 ユーベは水面下ですでに動いている。ウディネーゼのオーナーであるポッツォ家と交渉を開始し、フィオレンティーナともコンタクトを取り始めた。

 育成型クラブのウディネーゼとは、複数の若手を交換条件に含むトレードで話をまとめられそうだ。ユーベがパスを持つ有望株では、ルカ・マッローネ、シモーネ・ザザ(ともにサッスオーロとの共同保有)、ダニエレ・ルガーニ(セリエBのエンポリとの共同保有)に、ウディネーゼのフランチェスコ・グイドリン監督は興味を示す。移籍金の一部に彼らの保有権を盛り込めば、交渉がスムーズに運ぶだろう。

 もっとも、同じ戦略はフィオレンティーナ相手には取れない。因縁浅からぬライバルでもあり、交渉は一筋縄ではいかないだろう。

 アーセナルとバイエルンは、代理人を通じて身分照会をしたが、まだ具体的な条件提示には至っていない。ユーベとしては、彼らの機先を制して交渉をまとめ上げてしまいたいところだが、はたして……。

【記者】
Romeo AGRESTI
ロメオ・アグレスティ
1989年トリノ生まれ。著名ジャーナリストで、『ワールドサッカーダイジェスト』誌の連載でもお馴染みのジャンカルロ・パドバンが主宰する雑誌「カルチョGP」で研鑽を積み、現在は『Goal.com』のユベントス番として密着取材。クラブの専門チャンネル『ユベントスTV』にもコメンテーターとして出演する。

【翻訳】
神尾光臣
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