ジーコが鹿島に残したもの。クラブ創成期の忘れられない光景とは【石井正忠×岩政大樹#5】

2017年09月23日 岩政大樹

クラブW杯での「レフェリーに勇気がなかった」発言の真意。

クラブW杯決勝では、レアル・マドリーと延長戦にもつれ込む好勝負を演じた。(C)SOCCEER DIESGT

 鹿島OB対談の第5回は、クラブワールドカップの決勝や鹿島の歴史に話が及んだ。Jリーグ発足当時から鹿島に所属していた石井氏の目に、神様ジーコはどう映ったのか。また、ジーコスピリットがどうやって植え付けられたのかが明かされる。
 
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岩政大樹 クラブワールドカップのレアル・マドリー戦でセルヒオ・ラモスが退場にならなかった件で、会見の時に「レフェリーに勇気がなかった」と発言していますね。
 
石井正忠 あれは素直にレフェリーのジャッジに対して言っただけです。正直、戦っていて差は感じていたので、ひとり退場になろうが、そんなに変わらなかったと思っています。
 
岩政 言うか言うまいか考えたと思いますが、なぜ言う決断をしたんですか?
 
石井 選手たちを称える意味も含めて、あそこでは言うべきだと思いました。
 
岩政 確かに、あれは監督の立場でしか言えないことですよね。モウリーニョもよくやりますけど、感情的にレフェリーを批判しているのではなく、選手たちのことを考えて言っているんだろうなと。
 
石井 記者会見で発する言葉はいろんな人が聞いているし、当然選手の耳にも入る。その言葉は選ばなければいけません。
 
岩政 サポーターや選手、チームスタッフの顔も思い浮かべながらしゃべっているんですか?
 
石井 選手のことは、あまり思い浮かべません。批判は選手に直接言うべきなので、会見で個人への質問があった時に自分の考えを答えるくらいです。質問をごまかしたり、ぼかしたりしないで正直に自分の気持ちを言っていました。
 
岩政 次に監督をされるのが楽しみですが、優勝を狙うチームでもう一度やりたいのか、それともチャレンジャー的な立場のクラブでやりたいのか。希望はありますか?
 
石井 クラブの考え方にもよると思います。どちらかといえば、鹿島のように地域の人たちと密接に関って愛されるクラブで仕事がしたいですね。それが自分に合っているのかなと思っています。
 
岩政 よく分かります。チームの地位よりも地域とつながっているチームですよね。

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