舌を巻いたオリヴェイラの見極め。「優勝争いのポイント」を知っていた【石井正忠×岩政大樹#2】

2017年09月20日 岩政大樹

オズワルドは、選手に本気度を伝え、モチベーションを高めるのが上手かった。

石井氏は、J1を3連覇したオズワルド・オリヴェイラ監督に最も影響を受けたという。(C)SOCCER DIGEST

 鹿島OB対談の第2回は、J史上初の3連覇を達成した名将のチームマネジメントや、石井氏が監督を休養した2016年について踏み込んでいく。

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岩政
 将来的に監督もやってみたいなと思ったタイミングはいつでしたか?
 
石井 オズワルド(・オリヴェイラ)が来た2007年くらいから、「自分も監督としてやってみたい」と少しずつ思い始めました。
 
岩政 どういった姿を見て「監督をやりたい」と思ったのでしょう?
 
石井 オズワルドはコーチにも役割をしっかり与える監督だったので、私がチームに貢献できる部分が増えたんです。そこにやりがいを感じ、「こんな風に指揮を執ってみたいな」という気持ちが大きくなりました。
 
岩政 コーチにどこまで役割を任せるかは監督によって変わりますね。
 
石井 それまでの監督もいろんな仕事を与えてくれましたが、オズワルドの時は戦術面に関わる機会が一番多かったですね。
 
岩政 石井さんは多くの監督の下でコーチを務めてきました。監督が選手に見せる姿とコーチングスタッフに見せる姿は違うと思うのですが、そこで学んだこと、参考にされたエピソードはありますか?
 
石井 オズワルドは、監督の本気度を選手に伝えるのが上手だなと思いましたし、モチベーションを高めるのも上手かった。例えば、優勝争いのポイントになるゲームを見極めて、家族からの激励メッセージを用意したりする。後々考えると「ここがポイントだったな」と分かりますが、その試合を前もって予想しているのがすごかったですね。
 
岩政 確かに、そういうポイントの試合は、後になって振り返ると分かりますが、前もっては分かりませんよね。
 
石井 オズワルドからは、そういう面を学びました。(トニーニョ・)セレーゾから学んだのは、グラウンド上で監督が明るく振る舞う重要性です。セレーゾも負けた時はスタッフルームで落ち込むんですが、ピッチに出ると陽気にできる。そうすると選手も気持ちが切り替えやすくなるんです。
 
岩政 そうした様々な監督像を見ていて、自分はどういうタイプになろうと思いました?
 
石井 私は中学、高校とかなりスパルタで教育されてきました。指導者の顔色を見て自分を殺してプレーする時代だったので、指導者になったら選手が自主的に練習に取り組めるチームにしたいと思っていたんです。戦術面では、自分たちからボールを奪いに行く、アグレッシブなサッカーをしたいなと。鹿島は堅く守ってカウンターがベースでしたが、それをちょっと変えたいと思っていました。

次ページ監督に求められるのは、自主性と管理のバランス。

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