【CL回想録】王者たる所以を見せつけたバルサ、世界を驚嘆させた中村俊輔のFK

2017年09月07日 サッカーダイジェストWeb編集部

王者の力量を見せつけたバルサ。

メッシを中心とした圧倒的な攻撃力で、バルサはローマの堅牢を打ち破った。 (C) Getty Imgaes

 現地時間9月12日、2017-18シーズンの欧州の頂点に立つクラブを決めるチャンピオンズ・リーグ(CL)が幕を開ける。
 
 各国のスターが集って繰り広げるCLの戦いは、目の肥えた世界中のサッカーファンを唸らせ、興奮させ、そして魅了する。
 
 そんな世界最高レベルのクラブの大会では、今シーズンもグループステージからハイレベルな戦いが展開されるが、ここでは過去に生まれたグループステージにおける名勝負や名場面を、厳選して振り返ってみたい。
 
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 2015年11月24日のグループE・第5節のバルセロナ対ローマの一戦は、前年度の王者がその力をまざまざと見せつけた、まさにCLのレベルの高さを物語る試合だった。
 
 本拠地カンプ・ノウにイタリアの名門ローマを迎えたバルサは、第1節で相対した際に1-1のドローに終わっていたため、その憂さを晴らすべく、立ち上がりから猛攻を仕掛けた。
 
 一方のローマは、本拠地での第1節で自陣深くにブロックを形成して守り倒し、引き分けをもぎ取った戦いから一転、勇猛果敢というべきか、無謀というべきか、最終ラインを押し上げてのハイプレスをかけて、真正面から王者バルサにぶつかった。
 
 互いに攻撃的な激突した試合後、当時ローマの指揮官を務めていたリュディ・ガルシア(現マルセイユ監督)が、「彼らは無敵艦隊だ」と総括したように、バルサは好戦的なローマをいとも簡単に打ち崩す。
 
 相手の最終ラインの裏にスペースがあることを瞬時に察知したバルサの面々は、十八番のポゼッションでボールを支配しつつ、決定的なパスを空きスペースへと通し続けると、15分にルイス・スアレス、18分にリオネル・メッシがそれぞれ決めて、開始早々に試合を決定付けたのだ。
 
「MSN(メッシ、スアレス、ネイマール)」を中心とした王者の猛攻に翻弄され続けたローマは次第に集中力を切らしていき、44分にスアレスがこの日2点目を決めると、完全に意気消沈……。
 
 一度途切れた緊張の糸が再び紡がれることはなく、後半も3失点を喫したローマは、ロスタイムにエディン・ゼコが一矢報いたものの、1-6と無残にも散ったのである。
 
 負けず嫌いとしても知られるローマのフランス人指揮官をして「我々は先制しても負けていただろう。それは彼らの方が強いからだ。勝つことは不可能だった」と言わせるほどに、王者バルサとローマの力の差は明確なものだった。
 
 文字通りの圧倒的な強さを見せつけての大勝劇は、そんなバルサを倒さなくては欧州の頂点には立てないと、改めてCL制覇の難しさを世に知らしめた印象深い一戦として、今も人々の脳裏に焼き付いている。
 

 

次ページ名手ファン・デルサールを脱帽させた中村の鮮烈FK。

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