金田喜稔がオーストラリア戦を斬る!「大一番での思い切った若手起用に拍手を贈りたい」

2017年09月01日 サッカーダイジェスト編集部

今までであれば圭佑や真司に頼っていたはずだが……。

浅野が先制点を沈め、井手口(写真左)が追加点。指揮官の若手起用がピタリとハマった。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

[ロシアW杯アジア最終予選]日本 2-0 オーストラリア/8月31日/埼玉
 
 8月31日のオーストラリア戦、9月5日のサウジアラビア戦のどちらかで勝利すればワールドカップの出場権を得られた。2戦のうち1勝で良かったとはいえ、プレッシャーは大きかった。だからこそ、1試合を残しての予選突破は安心した。
 
 仮に2敗していたらグループ3位に転落していたわけで、そんな難しい状況で井手口陽介や浅野拓磨をスタメン起用したヴァイッド・ハリルホジッチ監督には拍手を贈りたい。
 
 これまでハリルホジッチ監督は、重要な試合で(本田)圭佑や(香川)真司ら日本代表をずっと支えてきた選手に頼っていた。だから、会見で「日本には若手を試す文化がない」とチクリとしても響かなかった。
 
 所属クラブで試合に出ていなくても、代表ではポジションがある。いくらJリーグで結果を残しても、スタメンは海外組……そんな状態だったからね。
 
 ワールドカップ出場の懸かったゲームで可能性を感じさせる若手を使ったのは、彼の言葉が説得力を持つことになる。負けたら解任。そんな報道も出るような大一番で、そういう姿勢を示されたら、世間も納得せざるを得ないだろう。
 
 また、予選を通して「しっかりと守備から入る」ことを貫いたのも見事だ。
 
 2014年のブラジル・ワールドカップまでの日本は、いわゆるダブルスタンダードのような状況だった。アジアでは強者として引いた相手を崩さなければならず、世界に出れば立場は低くなって引くサッカーを強いられる。
 
 だから本大会でも少なからず戸惑いが感じられた。
 
 ブラジル・ワールドカップでは、前年のコンフェデレーションズカップで強豪の守備を崩した手応えも手伝って「自分たちのサッカー」にこだわったが、本番ではどうにもならず、勘違いであったことを思い知らされた。
 
 よりリアリスティックなサッカーに舵を切る必要があり、ハリルホジッチ監督は守備の文化を代表チームに根付かせようとしている。

次ページ世界基準で渡り合うための守備意識を植え付けてくれた。

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