【ベガルタ戦記】渡邉晋の『日晋月歩』|「ベース」を疎かにしては勝利を掴めない

2017年08月29日 渡邉 晋

アタッキングサードでの積極性はもっとあっても良かった。

失点シーンを含めて、前半から簡単にクロスを上げさせてしまったことは今後の修正点だ。茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 仙台の渡邉晋監督による現役指揮官コラム「日晋月歩」の第23回。テーマは「スプリント」だ。22節の広島戦、23節の新潟戦に続いて3連勝を狙って乗り込んだ札幌厚別では、0-1と敗戦を喫してしまった。
 
 監督が敗因のひとつに挙げたのが、普段よりも少なかった「スプリント回数」だった。それは就任当初より掲げる「『球際、切り替え、走力』で相手を上回る」というチームのベースに直結するもの。痛い黒星を振り返るともに、改めて土台の重要性を話してもらった。
 
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[J1リーグ24節]札幌 1-0 仙台/8月27日(土)/札幌厚別
 
 今節の敗戦はかなり悔しさが残るものとなった。「たら・れば」になってしまうが、ひとつ上の11位にいた神戸、10位のFC東京、9位の鳥栖が敗れたので、うちが勝点を重ねていれば……と。思い切り悔しがる必要がある。
 
 この試合では、失点シーンを含めて前半から簡単にクロスを上げさせてしまっていた。それに伴って、ペナルティエリア内でも後手に回ってしまう。中断期間以降はあまりなかった状況だけに、しっかり反省すべきだ。
 
 アタックでは押し込んでフィニッシュまで持っていけたり、CKを取ったりするなど、ある程度は自分たちが意図したボール回しをできていた面はあった。ただ、アタッキングサードでの積極性がもっとあっても良かったと思う。
 
 開幕戦での経験から札幌のGKの特長は分かっていた。だからこそ、ペナルティエリア外から思い切って足を振るべきで、実際に開幕戦ではその流れからナオ(石原直樹)がゴールを奪っている。
 
 前節・新潟戦の決勝ゴールもタマ(三田啓貴)のミドルシュートで、22節の広島戦でも(西村)拓真が積極的に打ったことがゴールにつながった。ちょっと「上手くやろう」とし過ぎている感じがした。
 
 また、スペースがないなかで札幌を攻略しようと思ったら、とにかく「パス&ムーブだ」という話をしていた。パスをして動き、相手のマンツーマン気味のマークを剥がす。しかし、そういうシーンは多くなく、また後方から駆け上がるシーンももっと作れたはずだ。

次ページスプリント回数の少なさが敗因のひとつ。

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