清水の選手が感じた浦和の変化――「前はリスク管理があまりできていなかった」が…

2017年08月29日 前島芳雄

3-3で引き分けた前半戦とは、かなり内容や印象の異なる試合だった。

浦和は興梠やR・シルバ(8番)の個人能力を生かしていた印象だ。(C)SOCCER DIGEST

[J1リーグ24節]清水1-2浦和/8月27日(日)/アイスタ
 
 前半を1-0で折り返したところまでは、かなり清水の思惑通りに進んでいた。しかし、後半は浦和が徐々に底力を発揮し、清水は耐え切れなくなって2失点。浦和が逆転で3連勝を飾ったゲームは、打ち合いの末に3-3で引き分けた前半戦(5月20日/12節)とは、かなり内容や印象の異なる試合だった。
 
 その意味では、堀孝史監督の下で浦和がどのように変化したか、確認しやすいゲームでもある。今回は、その部分を清水側の視点から探っていこう。
 
 まず全体的な印象として清水の選手たちが感じたのは、浦和の戦い方が手堅くなったことだった。
 
「以前は、攻撃でサイドチェンジが多かったり、クサビからスルーパスとか、クサビからフリックというのが目立ちましたが、そのあたりは少し減ったと思います。そんなにリスクを冒して攻める感じでもなかったし、(ボールを失った時の)守備への切り替えのところは相当意識しているなと感じました」(竹内涼)
 
「前半戦で戦った時と比べて、リスク管理のところや守備に戻る速さは変わってましたね。前はリスク管理があまりできてなかったので、うちも3点取れましたけど、監督が代わってそこが改善されているのかなと感じました」(金子翔太)
 
 立ち上がりで目立ったのは、浦和が裏へのボールで揺さぶりをかけたこと。興梠慎三の動き出しの良さを生かしてスペースを狙い、それによって17分までに清水のセンターバックコンビに1枚ずつイエローカードを与えた。
 
 その後、清水は裏への対応を改善したが、最終ラインを高く保ちにくくなったことは否めない。このあたりは定石といえば定石だが、リスクを抑えながら主導権を握っていくためには有効だ。
 
 30分にCKから清水の注文通りに先制点を奪われたのは、浦和にとって計算外だったが、リードされたからといって無理して攻めにいく姿勢は見られなかった。丁寧にポゼッションしながら、機を見て縦パスを入れたり、サイドに対角線のボールを送ったりして押し込み、ジワジワとプレッシャーをかけていく。その際も、槙野智章や遠藤航が前線まで上がることは少なく、リスク管理は確実に維持して、清水のチャンスを潰していた。

次ページ前線の個の力の生かし方は、清水に対しては有効だった。

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