ミランCEO、不安視される財政面について“最悪のケース”にも言及

2017年08月28日 サッカーダイジェストWeb編集部

「投資ファンドがオーナーに」「トップ選手をひとり売却も…」

大改革にミラニスタは期待を込め、多くの人々がサン・シーロのスタントを埋めている。そしてチームはそれに応え、ここまで結果を出している。この良い流れを持続して、ミランは財政面の不安を払拭することができるか!? (C) Alberto LINGRIA

 大改革に踏み切ったミランは、ヨーロッパリーグで予選の2ラウンドを難なく突破し、グループステージ出場権を獲得した。セリエAでも開幕2連勝を飾っている。上々のスタートを切ったと言えるだろう。だが、財政面を不安視する声は後を絶たない。


 ローマのジェームズ・パロッタ会長やミラノ市のジュゼッペ・サーラ市長、イタリア『スカイ・スポーツ』……財政への懸念を表したクラブ外部の人間に対し、強気の態度を示してきたマルコ・ファッソーネCEOが、現地時間8月27日の英紙『ガーディアン』のインタビューで「最悪のケース」に言及した。
 
 昨シーズン途中の買収時に「エリオット」から3億ユーロ(約384億円)の融資を受けたミランは、2018年10月までに利子付きで多額の借金を返済する必要がある。これに対しファッソーネCEOは、利子が高いことを認めつつ、「最悪ではない」とコメント。すでに返済に向けて動いていると強調した。
 
「我々はすでに、返済に向けて動いている。早くにそれを終えられるだろう。可能ならば、2018年の初頭にもね」
 
 さらに、ファッソーネCEOは「最悪のケースのシナリオでは、来年10月にミランのオーナーがエリオットになる」と認めつつ、「クラブの未来は霧に包まれてなどいない」と主張している。
 
「99パーセントの確率で、我々はミスター・リー(・ヨンホン)と前進する。我々の計画が成功することを願っているよ。ただ、最悪のケースでも安心してほしい。エリオットは『ならず者』じゃない。世界有数のヘッジファンドであり、クラブを保つことも、再売却することもできるだろう」
 
 とはいえ、最悪のケースを避けるためにも、ミランにとって今シーズンのチャンピオンズ・リーグ(CL)出場権獲得は最低条件となるだろう。ファッソーネCEOも、それをオーナーから命じられていると認めた。そのためにミランは、この夏に11名もの新戦力を獲得したのだ。
 
 だが、ファッソーネCEOはCL出場権を逃した場合、「(来年の)補強資金は多くないだろうし、トッププレーヤーを誰かひとり売ることも考えなければならなくなるかもしれない」と明かした上で、そういった事態も想定して動いていると主張した。
 
 大規模な補強を断行したことで、負担が増したことは否定できない。そもそも、これだけニューフェイスが多ければ、チームとしてまとまるために相当な時間を要するのは間違いない。それでも、ファッソーネCEOは全て計算済みだと強調している。
 
「3、4選手の獲得に抑えることもできた。そのほうが、チームへの適応もより簡単だっただろう。だがSDと相談した上で、大改革をやると決めた。全員が適応するのに1年かかるかもしれない。だがこうすることで、来年はうまくいかなかった2、3の点を変えるだけで済む。これは計算ずくのリスクなんだ」
 
 ミラン新経営陣の戦略は、吉と出るのか、凶と出るのか。ピッチの上では順風満帆のミランだが、その経営面には今後も注目が集まる。
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