来春のトップ昇格が決定! 常勝アントラーズの次代を担う「GKの大器」

2017年08月28日 松尾祐希

高3は守護神の当たり年。その中でも忘れてはならない男だ。

ピッチ上での存在感が際立つ沖。トップチームで熟練の先輩たちに揉まれ、日々進化を続けている。写真:松尾祐希

 1999年生まれ、現在の高校3年生の世代は守護神が豊作だ。当たり年といっても過言ではないだろう。
 
 5月にU-20ワールドカップを戦った日本代表で、最後まで候補メンバーに残り、すでにトップチーム昇格を決めている大迫敬介(サンフレッチェ広島ユース)。、昨年から2種登録されているU-18日本代表の古都の怪物、若原智哉(京都サンガU-18。そして、U-18日本代表歴を持つ猿田遥己(柏レイソルU-18)に加え、2月のU-18ナショナルGKキャンプに参加した長谷川滉(市立船橋)も控える。いずれも将来が楽しみな有望株だ。
 
 その中で、忘れてはならない男がいる。8月22日に来春のトップ昇格が発表された鹿島アントラーズユースのU-18日本代表、沖悠哉だ。
 
 常勝軍団の下部組織で技を磨く守護神は、中学年代から将来を嘱望されてきた。184センチとGKにしては決してサイズに恵まれていないが、それを補って余りある良質なスキルとビルドアップがある。「いままでは中途半端にやってしまうことが多かったので、やり切るということを意識している。ミスをしてもトライを続けることは監督にも言われているので」と本人が話すように、課題だった状況判断が向上。以前のように曖昧な動きを見せることがなくなった。
 
 8月27日のプレミアリーグEAST再開初戦、市立船橋戦では安定感のあるパフォーマンスでチームを勝利に導いた。前半にあったCKでは、触れるか触れないか微妙なところに蹴り込まれたボールを的確に処理。勇気を持って飛び出すだけでなく、プレーをやり切るところに成長の跡を感じさせた。沖はクリーンシートを達成し、チームは2-0で勝利。3位に浮上した。
 
 まさにいまが伸び盛りだ。日進月歩の成長を続けるが、もちろん独力でこのレベルに辿り着いたわけではない。同世代のライバルの存在があったからこそ、進化を遂げられたのだ。その盟友とは、中学時代にはU-14ナショナルトレセンに選ばれた経歴を持ち、昨年2種登録をされていたGK石川碧人(3年)である。
 
 中学から鹿島で技を競い、互いを高め合ってきたふたり。中学時代を知る人物も「本当に競い合ってトレーニングをしていた」と話すように、鹿島ジュニアユース時代からともに居残り練習をしながら、「あいつには負けない」という強い想いで切磋琢磨してきた。沖本人も、そこは認める。
 
「中学からずっと一緒で、ずっとすごいプレーヤー。自分に持っていないものを持っている。そこは本当に尊敬しているし、勉強になります。GKはひとりしか試合に出られないので、つねに負けたくないという気持ちがある。彼はすごく巧いですし、気を抜いたら超されてしまう」
 
 そのライバル意識が、現在の沖を作り上げたのだ。
 

次ページさらなる進化を遂げ、次世代の鹿島を担う正守護神へ──。

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