【横浜】優勝戦線に生き残るには、扇原貴宏の“一歩前に出る動き”がカギを握る

2017年08月27日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「どこかでリスクを背負って攻めないといけなかった」

H・ヴィエイラの決勝点をお膳立てした扇原。守備面で多大な貢献を見せるボランチが、攻撃面でも大仕事をやってのけた。(C)SOCCER DIGEST

[J1リーグ24節]横浜 1-0 FC東京/8月26日/日産ス
 
 一進一退の攻防が続き、試合は残り時間10分を切った。前半に、FC東京の髙萩洋次郎がGKと1対1を迎えれば、後半、横浜のマルティノスが決定的なシュートを放つ。両チームとも決めてもおかしくないチャンスがあったが、それをモノにできずにいた。
 
 均衡を破ったのは、ホームの横浜だった。83分、センターサークル付近でパスを受けた扇原貴宏が、左SBの山中亮輔に展開。そこからタッチライン際にいた齋藤学にボールが渡ると、トップ下で途中出場していた前田直輝が齋藤に近づく。
 
 この前田の動き出しに、FC東京の守備陣がつり出される。バイタルエリアにぽっかりと空いたスペースに、勢いよく飛び出して齋藤からのパスを引き出し、ニアゾーンに侵入したのが、扇原だった。
 
 長身ボランチは左足で正確なクロスを供給。これをウーゴ・ヴィエイラがヘッドで叩きつけて、ゴールネットを揺らした。
 
「クロスに関しては、ウーゴが上手くヘディングで合わせてくれたかなと思いますけど、結果的に点につながったので良かった」
 
 中澤佑二率いる最終ラインの前で精力的かつ献身的なディフェンスを見せ、チームの堅守を下支えしている扇原だが、攻撃面でも重要な仕事をやってのけた。
 
 3列目から思い切って前に出て行くプレーについては、「状況次第ですけど、ずっと後ろに残ることもなく、スペースがあれば、攻撃にも絡んでいこうと思っていた」という。攻守のバランスや、2ボランチでコンビを組む喜田拓也のポジショニングには常に気を配っているようだが、ミドルゾーンでタクトを振るう扇原の"一歩前に出る動き"がさらに増えてくれば、課題の攻撃力にも迫力と厚みが生まれてくるはずだ。
 
「あのまま(スコアレス)だと、(前節の)ヴィッセル戦(0-0でドロー決着)と同じ展開だったし、どこかでリスクを背負って攻めないといけなかった。ホームですし、勝たないといけない試合だったので」
 
 このFC東京戦の勝利で、"14戦無敗"とした横浜は暫定2位に浮上した。チームがタイトルレースで生き残れるかどうかは、守備だけでなく攻撃でもセンスを発揮する扇原の出来がカギを握っていそうだ。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
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