【ベガルタ戦記】渡邉晋の『日晋月歩』|選手の「自立」を実感した逆転勝利

2017年08月21日 渡邉 晋

選手たちは取捨選択がしっかりとできていた。

これまでも選手たちが自主的に動けるように促してきた。その成長を新潟戦でも感じられた。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 仙台の渡邉晋監督による現役指揮官コラム「日晋月歩」の第22回。テーマは「自立」だ。渡邉監督が昨年12月にヨーロッパへ研修に行って実感したのが、選手たちが様々なことを自主的に判断し、行動していること。
 
 その重要性を再認識して、今季はスタートから「自立」を掲げてチームを作ってきた。徐々にその成果が目に見えるようになってきたなかで、さらに推し進めるべきこととは? 新潟戦を振り返るとともに、選手たちの成長を語ってもらった。
 
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[J1リーグ23節]新潟 1-2 仙台/8月19日(土)/デンカS
 
 昨年12月にヨーロッパへ研修に行き、いろいろなクラブを見学させてもらった。その時に強く感じたのが、選手たちの「自立」だ。チームのベースを大切にしつつも、自主性を持って行動する。日本の選手たちに足りない部分だと思った。
 
 だからこそ、シーズン前のキャンプから「自立」をテーマに掲げた。ゲーム内で言うならば、重心を守備に傾けさせられるのではなく、流れを読んで自分たちから傾ける。重要なのは、先手を取って主体的に戦うこと。それがゲームコントロールにもつながる。
 
 これまでも選手たちが自主的に動けるように促してきたが、新潟戦では選手たちの成長を実感することができた。昨日のゲームの前半はチャンスを作れない、守備でも前からハメられない難しい展開になってしまった。
 
 そのため、ハーフタイムでは「このシーンでは前線からプレスを掛けられるのでは?」と投げ掛けてみた。すると、選手たちは自分たちでタイミングなどを擦り合わせて、ピッチ上で成果を示した。
 
 前節の広島戦から引き続いて、「自分たちのやりたいこと」と「やるべきこと」の取捨選択をしっかりと判断できた結果が、逆転勝利につながったと考えている。
 
 今日、試合出場組はリカバリーだ。そこで何人かの選手には「前半をどうプレーすべきだったのか。選手同士で話し合ってみろ」と伝えた。
 
「こんな風に戦えたのではないか」、「前半は無理せずに我慢をして時計を進められたのが良かった」など、どんどん意見が出れば、より"自立"への道は開けると思う。

次ページ約束事を守りつつ「やるべきこと」をチョイスできている。

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