Jリーグでの引退を希望する元イングランド代表FWのストイックなこだわりとは?

2017年08月21日 斉藤宏則

「FWが得点を取るのは求められた仕事を果たしただけに過ぎない」

新天地の札幌で2得点を挙げているジェイ。チームをJ1残留に導けるか。(C) J.LEAGUE PHOTOS

 23節を終了し、勝点20で15位の札幌はここ数試合、残留圏スレスレの状況を綱渡りで歩き続けている。降格圏の16位・大宮とは勝点1ポイント差、17位の広島とは同2ポイント差と危機的状況にある。
 
 ひとつでも多くの勝点を積み上げなければならないなかで、とりわけ直接対決は絶対に落とせない"大一番"となるが、22節の甲府戦もそう言えるゲームだった。1-1で引き分けたその試合は、甲府がグループでのパスワークを軸に札幌を圧倒。ホームの札幌は苦しみながらも相手のミスに助けられ、なんとか勝点1を拾った。厳しい表現かもしれないが、それが現実だった。
 
 だからこそ、開始10分に奪った先制点があまりにも貴重だったと言える。そしてそれを奪ったのが、この夏に加入した新戦力、元イングランド代表のFWジェイだった。
 
 エース都倉賢の出場停止もあって、背番号48は札幌加入後初先発。「コンディションはまだ100パーセントではない」としながらも、「やはり、スタートから試合に出られるのは嬉しい」と引き分けという結果には不満足気ではありながらも、初先発しての得点に喜びを隠さなかった。新天地デビュー戦となった7月29日の浦和戦でも途中出場から得点しており、出場4試合で2得点とまずまずの滑り出しを見せている。
 
 昨季まで2年間磐田でプレーし、この夏まではフリーの立場だったが、その理由を「Jリーグで引退したいと思っているので、Jクラブからのオファーを待ち続けた」とのこと。他国からのオファーは複数届いたが、それらはすべて固辞したという。
 
 そんなイングランド人FWだが、得点のことについて問うと常に素気ない。これは決して悪い意味ではなく、「得点を取るのが我々FWの仕事だよね? だから、得点を取ることは喜ばしいことではあるが、求められた仕事を果たしたに過ぎない。DFが相手のクロスを跳ね返すのと同じようにね」と、点取り屋として生きる以上は、得点を奪うことのみが自らの存在証明だと捉えている様子だ。

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