【番記者通信】ダービー完敗で湧きあがる疑念|マンチェスター・U

2014年04月01日 マーク・オグデン

プレミアリーグ発足以降で最悪のシーズンに。

金満と揶揄するシティに負けず劣らず、強化にカネを使っているユナイテッド。ダービーの完敗は、それだけに深刻だ。 (C) Getty Images

 マンチェスター・シティとのダービーマッチは、屈辱的な敗北に終わった。ホームで0-3の完敗。内容的にもシティに大きな力の差を見せつけられた。

 1992-93シーズンにプレミアリーグが発足してからの21年間で、ユナイテッドの勝点がもっとも少なかったのは、96-97シーズンの75。シティに敗れたその瞬間、この勝点の最低記録を塗り替えることが決まった。残りの試合に全勝しても勝点は72。プレミア発足以来、最悪のシーズンとなったわけだ。ちなみに、勝点75の96-97シーズンは優勝している。

 ダービーマッチでのユナイテッドは、まさに目も当てられない有り様だった。開始わずか43秒で先制され、その後も相手に主導権を握られっぱなしという体たらく。シティの選手たちは最高のパフォーマンスを見せる必要もないまま、易々と勝点3を手にした。誇り高き赤のユニホームを着るに相応しいプレーを見せたのは、ウェイン・ルーニーとダビド・デ・ヘアくらいのものだった。

 敗因は、どこにあったのか?

“金満”シティとの差は、はたして資金力の差なのだろうか。ダービーマッチで先発した選手の移籍金の総額は、ユナイテッドが2億870万ポンド(約334億円)。対するシティは、1億8820万ポンド(約301億円)で、補強にカネを使っていたのは意外にもユナイテッドのほうなのだ。これは看過できない事実である。

 今夏の市場では、デイビッド・モイーズ監督に1億5000万ポンド(約240億円)の補強費が手渡されるという。しかし、そんな莫大な資金を投下したところでシティに追いつけるのか。ダービーの完敗を振り返り、そんな疑念が湧いてきた。

【記者】
Marc OGDEN|Daily Telegraph
マーク・オグデン/デイリー・テレグラフ
英高級紙で最大の発行部数を誇る『デイリー・テレグラフ』のユナイテッド番を務める花形で、アレックス・ファーガソン前監督の勇退をスクープした敏腕だ。他国のサッカー事情に通暁し、緻密かつ冷静な分析に基づいた記事で抜群の信頼を得ている。

【翻訳】
田嶋康輔
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