【名古屋】風間監督が7-4、5-2、4-3の3試合で問題視したポイントと得点急増の理由

2017年08月18日 竹中玲央奈

リードを守れなかったことを問題視しているわけではない。

今季から名古屋を率いる風間監督は攻撃的なチーム作りで、これまで筑波大、川崎の躍進の礎を築いてきた。写真:徳原隆元

「らしくなってきた」と言えるのかもしれない。 風間八宏監督率いる名古屋グランパスのここ3試合のスコアを見ての感想である。
 
 7-4、5-2、4-3と、この3試合で奪ったゴールは「16」と、1試合平均で5.3点を叩き出している。徹底的に攻撃的なサッカーにこだわる風間監督が作るチームらしい。
 
 とはいえ、一方で失点も「9」、1試合平均3失点と看過できない数字になっている。
 
 直近28節の町田ゼルビア戦では、立ち上がりから相手のプレスに対して、後手に回り先制を許すも、その後は徐々に主体的な試合運びでリズムを掴む。3−1までひっくり返してこの2試合の大量得点が偶然の産物でないことを証明した。
 
 しかし、後半は完全に相手の力強い攻撃を前にボールを保持させてもらえず、2失点を喫して試合を振り出しに戻された。4点差から一時イーブンにされた愛媛戦に続き、複数得点差を追いつかれてしまったのである。
 
 両試合とも結果的に決勝点を奪って勝点3を手にしたものの、やはりリードを追いつかれたところに目が行ってしまうのも事実だ。ただ、それ対して風間監督はこう言った。
 
「試合ですから、相手より1点でも多く取れれば良いわけで。 1-0もそうですし、4-3も同じかと思います。問題があるとすれば、自分たちのやり方を変えて取られているというところ。そこはしっかりと見ていきたいと思います」
 
 つまり風間監督は、2点のリードを"守れなかった"ことを問題視しているわけではない。後半に関して言えば、相手にボールを奪われずに自分たちの攻撃を貫けなかったことが問題点なのだ。そこに目を向けるあたり、指揮官がどのようなチーム作りをしようとしているのかが見て取れる。
 
 今季、名古屋へ完全移籍を果たした八反田康平は筑波大学蹴球部で4年間、風間監督の薫陶を受けてきた選手だが"風間サッカー"の理解度が高い彼はこう語る。
「(風間監督の就任当初は)筑波の時も追いつかれることはあったし、フロンターレもそういう試合がありましたよね。でも、こうやって成長していくのだな、と」
 
 苦笑いをしながらこう語っていたが、ある種これは通るべき成長痛のようなものであるのだろう。

次ページ求める要素が“揃う”までにはどうしても時間を要する。

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