「兄貴あっての自分だった」。永井秀樹と10年ぶりにパス交換した弟・篤志の想い

2017年08月15日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

同じ中盤のポジションで、「兄弟だけど、ライバルだった」。

幼い頃からともにボールを蹴っていた永井兄弟。弟・篤志(左)にとって、兄・秀樹(右)は目標とすべき存在だった。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 8月14日に開催された永井秀樹の引退試合『OBRIGADO NAGAI』には、三浦知良ら現役選手はもちろん、多くの日本サッカー界の往年のスターたちが集結した。
 
 その中に、この日の主役の弟・永井篤志も参戦していた。
 
 篤志はメインイベントのヴェルディレジェンズ対Jレジェンズだけでなく、その前に行なわれた国見OB対帝京OBの一戦でも、兄・秀樹とともにピッチに立った。
 
「最後に一緒にできて、パス交換もしたし、楽しかったです」
 
 兄弟でプレーするのは、実に「10年ぶりぐらい」だった。秀樹よりも先に現役を退いていた篤志は、去年、兄もスパイクを脱ぐと知った時は、「そういう時期は必ず来るし、ついに兄貴も決断したんだな」と思った。
 
 弟なりに、寂しさもあったが、「今までお疲れさま」と、そして「兄貴あっての自分だった」という言葉を伝えたという。
 
「兄貴がサッカーをやっていなかったら、自分もサッカーはやっていなかった。小さい頃、兄貴と一緒にボールを蹴った思い出はたくさんある。1対1の相手をさせられたり(笑)。それはいろいろありますね」
 
 まずは秀樹に追いつきたかった。兄を超すことが目標だった。それは小学生からプロになっても変わらなかった。同じ中盤のポジションだっただけに、「兄弟だけど、ライバルだった」。
 
 そんな兄の引退試合には、豪華な顔ぶれが揃った。
 
「本当にこれだけのメンバーが集まるとは思わなかったし、国見での試合でもみんな楽しそうにやっていた。こういう機会がないと、なかなか集まらないじゃないですか。兄貴のおかげでこういう試合ができて、改めて兄貴の凄さを感じました」
 
 篤志は今、キッズスクールのコーチとして子どもたちにサッカーを教えている。「底辺が一番大事なところ。そこを疎かにしてはダメだと思うんです。土台をしっかり作ってあげたいんです」。
 
 そう確信できるのは、兄と一緒に汗だくになってボールを追いかけ、何度も繰り返された1対1で、自身もメキメキと実力をつけていった実体験があるからかもしれない。
 
 国見時代から篤志の武器だった、あの独特のリズムを刻むドリブルも教えているのだろうか――最後に質問してみると、「それも教えつつ(笑)、はい、頑張ります」と柔和な笑顔を見せた。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
 
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