【指揮官コラム】鹿児島ユナイテッドFC監督 三浦泰年の『情熱地泰』|初台風で見た鹿児島の一体感とボルトの銅

2017年08月10日 サッカーダイジェストWeb編集部

台風予報に対する鹿児島の人々の手際の良さにびっくり。

鹿児島ユナイテッドFCは現在、リーグ5位につける。中断期間明けの巻き返しに期待したい。(C) SOCCER DIGEST

 8月某日、鹿児島に台風直撃の予報が……。多くの人から心配する連絡が入った。僕も鹿児島に来る前は、鹿児島と言えば台風が必ず通過していき、大きな被害を受けているイメージを持っていた。その台風がやって来たのだ。
 台風5号だ……。
 
 土曜日の夜に上陸、日曜日に大きな影響を受けるという警報に、チームは上手く難を逃れることができ、土曜日の午前中に少し強い風の中での練習試合を終えた。
 
 もちろん飛行機が欠航になったり、羽田空港に戻ったり、福岡空港に到着が変わったり、電車が止まったりと、まったく影響がなかった訳ではないが、たまたま日曜日をオフにしていたことと、J3リーグが3週間の中断期間であったりと、運よく台風5号の大きな影響はなかった。
 
 それにしてもびっくりしたのはその予報に対しての鹿児島市民の準備の手際の良さだ。少年サッカー大会は、レギュレーションを変え土曜日で終了するようにするし、公共の施設は早めにクローズ。スーパーは夜中の12時までやってるはずが夜の7時で早じまいだ。
 
 台風が逸れた時の欲を捨て、早めに決断。日曜日のお祭りや行事、イベント、サッカーに関して言えば大会やフェスティバルは、土曜日のいや金曜、木曜の時点で中止を決めていた。
 
 そして翌日(日曜日)、道には人がまったく歩いていない。皆で台風を警戒してリスクをしっかりマネジメントしていたというわけだ。
 
 僕の住むマンションの駐車場は地下の立体機械駐車場のため、夜の21時には出入りできないように出入口に壁を作り、車の水没とトラブルが起きないようにしていた。利用予定のある人は、近くの駐車場に移動させられるなど、事前の準備を徹底しているのである。
 
 面白いもので、「備えあれば憂いなし」とでもいうのか、風の強い一日であったが僕の住む付近はそれほど強い雨も降らず被害もなく、マンションのオーナーも「大したことなかったね……」と拍子抜けしていた。
 
 もちろん鹿児島も広いので被害が大きかった場所もあるのかもしれない。これから台風何号まで続くか分からないが、また鹿児島に上陸してくる可能性もあるだろう。
 
 ただ初台風を体験した僕にとっては、「さすが鹿児島の団結力」と思えたし、過去の経験から、周りが台風に対してしっかり意識して備える所は、東京や静岡では感じとれない地域性だった。
 
 僕も台風が最接近した日は一日中、外出せず家にいた。きっと鹿児島じゅうで、そんな日曜日を過ごした人は多かったのだろう。

次ページ負ける日まで拘って走った姿に感動した。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事